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俺は戦う!

しかし、それでも諦めずに必死に抵抗を続けていました。
そうすると、突然目の前に一人の女性が現れたのです。
その女性は自分のことを女神だと言っていましたが、俺には信じられませんでした。
何故ならどう見ても普通の人間にしか見えなかったからです。
しかし、彼女は構わず話を続けました。
「はじめまして勇者様。私は女神アリアと申します」
そう言うと、彼女は自己紹介を始めました。
どうやらこの女性は本物の神様のようで、俺に使命を与えるために召喚したというのです。
「ちょっと待ってください! 女神様、どうして俺が召喚されたんですか?
それにここはどこなんですか? そもそも、俺の家族はどうなっているんですか?」
そう尋ねると、彼女は少し困ったような表情を浮かべていましたが、やがてゆっくりと語り始めたのです。
「実はあなたは別の世界の勇者として召喚されたのですけど、元の世界に帰ることはできずに消滅してしまったんです」
その言葉を聞いていた俺だったが、何を言っているのか分からなかったため聞き返してしまったのです。
そうすると、もう一度同じことを言ってくれたのですが、やはり理解できずに呆然と立ち尽くしているしかありませんでした。
そんな時、彼女からの提案があったので聞いてみることにしました。
その内容は、この世界で生きていくためにはお金が必要とのことだったので、
お金を稼ぐために働くことが条件であると言われました。
そこで、俺はとりあえずやってみることにしました。
しかし、まだこの世界で何が起こるかは予想できませんので、まずは情報収集が必要だと思いました。
「分かりました、頑張ります!」
そう言って力強く答えると、アリアは微笑みました。
そして、俺を冒険者ギルドまで案内してくれると言ってくれました。
アリアは、俺の手を引くように手を引いて歩き出したのです。
その様子はまるで恋人同士のように思えましたが、あまり深く考えることはありませんでした。
もしかしたら本当に恋人になれるかも? と思いながらも、不安もありました。
何故なら相手は神様なのですから、人間の俺が釣り合うはずがないと思ったからです。
それに相手は見た目が子供だったので少し気が引けてしまいましたね。
そんなことを考えているうちに、目的地へと到着しました。
中に入ると受付カウンターがあるので、まずはそこで冒険者登録をすることになりました。
ですが、手続きを済ませるまで時間がかかりそうなのでしばらく待つことになりました。
その間に周りを見渡してみると、周りには屈強な人達がたくさんいたことに驚きました。
そして、何よりも気になったことが……、
「ここは、なぜこんなに盛り上がっているんですか?」
気になったことをアリアに尋ねてみました。
そうすると、意外な答えが返ってきました。
実はここでは月に一度行われる大会が開かれるそうで、
出場する人はたくさんいて皆血眼になって優勝を狙っているということでした。
しかも、この大会では純粋な実力だけでなく運も必要なので難しい大会だと思いました。
ですが、その反面面白そうだなと感じた俺は早速登録を済ませると早速試合会場である闘技場へと向かうことにしました。
そこには大勢の人が集っていて、熱気に包まれていました。
俺も不思議と興奮していたのです。
今から戦う相手のことを考えながらも心を落ち着かせようとしていると、
試合開始の合図を知らせる音が鳴り響いたと同時に試合開始の笛が鳴り響いていたのです。
そして、試合が始まっていました。
今回出場しているチームメンバーは俺を含めて5人いますが、俺が出場するチームは既に一人戦闘不能に陥っていました。
急いで他のメンバーと連携を取りながら残りの相手を倒そうと試みましたが、
さすがにそう簡単に倒せるはずがありません。
「くっ、強い……」
思わず声を漏らしてしまいました。
それほどまでに相手の実力は高く、隙がありませんでした。
このままでは負けてしまうと思った俺は、何とか打開策を考えようとしましたが何も思い浮かびませんでした。
そんな時、突然頭の中に声が聞こえてきたのです。
(ねぇ、あなたの力を貸してあげるわ)
と、それはアリアの声でした。
(え? どういうことですか?)
そう尋ねると彼女は微笑みながら答えてくれました。
(いいから私の言う通りにしなさい)
そう言われた俺は半信半疑ながらも従うことにしました。
そして、次の瞬間には信じられない出来事が起こりました。
なんと俺の体が光り輝き始めたのです。
しかもそれだけではありません、体が軽くなったような感覚に襲われていたのです。
これは一体どういうことでしょうか?
まさか本当に神様の力を得たとでもいうのでしょうか!?
驚きを隠せないままでいると、今度は別の声が聞こえてきました。
「どうやら、私の力を受け入れることができたようね」
その声はアリアのものでしたが、先程とは違ってどこか大人びているように感じられました。
それに、口調も変わっていたのです。
まるで別人のように感じられたのですが、それよりも気になったことが一つありました。
「アリア様、その姿は一体?」
と尋ねると、彼女は微笑みながら答えてくれました。
それは驚くべきものでした。
なんと、神様である彼女は天使へと転生したということだったのです。
しかも、その天使様が俺の武器となってくれるということでした。
さらに俺は勇者として覚醒し、パワーアップしたということです。
これならいけるかもしれないと思った俺は全力で戦うことにしました。
しかし、そう簡単に勝てるはずもなく苦戦を強いられていたその時でした、頭の中にまた声が聞こえてきました。
今度は男性の声でしたが誰なのかは分かりませんでしたが、聞き覚えのある声だったのですぐに誰だか分かりました。
(頑張りたまえ我が眷属よ)
そう心の中で呟くと力が漲ってきた気がしたので、思い切って攻撃を繰り出してみることにしました。
まず最初に俺が狙ったのは、敵の懐に入ることだったので素早く回り込むと相手の背後に回り込みました。
そして剣を構えて相手の背中を切り裂こうとしましたが、ギリギリのところで防がれてしまいました。
それでも諦めずに何度も試みるうちに徐々に攻撃を当てることができるようになっていきました。
しかし、相手は手強くなかなか倒せそうにありませんでした。
そこで、最後の手段として必殺技を使うことにしました。
その名も【瞬殺】です。
これは強力な一撃を繰り出して相手を一瞬で倒す技で、確実に命中させれば一撃で倒せるほどの威力があるのです。
この技は強力である分、かなりの集中力を要するので使い所が難しいのですが、
今はそんなことを言っている場合ではなかったので迷わずに使うことにしました。

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