84 ぴーちゃんによる熱~いお話
『ぴよ~(あぁあ~)』
『ふはははははは』ピキキッ
グランパたちに聖一朗との出会いを尋ねられたぴーちゃんが、のんちゃんに抱っこされたぬいぐるみサイズのまま、目を三角にして不気味に笑ってます。
「ふおおおお?」
ぴーちゃんこわれちゃった?思わず抱っこした手を伸ばして距離をとるのんちゃん。
「ひまちゃん?」
ぴーちゃん、大丈夫?
『ぴよぴよ~(うん。大丈夫だよ~。でもね~)』
「でみょ?」
『ぴよぴよ~ぴよ~(聖一朗と会った時のお話は、ぴーちゃんお兄ちゃんにとって、かなり頭にきたことみたいでね~。あ、それはタマとポチもかな~)』
「ふ、ふ~ん」
そっかぁ、タマとポチもかぁ
『ぴよ~(だから、三人でお酒とか飲むと、よくこのお話になってね~)』
「ほ、ほえ~?」
神獣様もお酒飲むんだね~
『ぴよ~(盛り上がりすぎちゃって、よく周りを爆発させちゃうから~)』
「ふ、ふお~?」
ばくはつ?
『ぴよ~(当時の家精霊さんに『主が悪いのは百も承知だけどねぇ?呑むなら外で呑みな!』って追い出されてたんだよね~)』
「ほ、ほ~?」
ママのママのず~っと前のママさんかな?強~い。でも、きっと大正解だね~。
そこまでのんちゃんと陽葵のやり取りを静観していた他のみんなも、家精霊のお話が出るとまずママが話の輪に入ってきて
『さすが私らの先祖だねぇ。懸命な判断だね』
『そうねぇ。飲む度に家を壊されたらたまらないものね』
『初代様なら壊れたら再生するくらいの魔法を組み込んでそうだけどね』
『『たしかに』』うんうん
まぁまと、やっと復活したぱぱも加わってきました。
〖ぴーちゃんだけではないとはのぉ。ますます何をやらかしたのじゃ聖一朗よ〗
〖本当ですねぇ。聞くのが怖いですね。でも、今さら聞きたくないと言っても〗
『はははははっ』ビキキッ
〖無理ですね〗
〖じゃのぉ⋯⋯〗
はあああぁ
みんなでため息。そして
『はははははっ』ピキキッ
まだ不気味に笑うぴーちゃんに
「ぴーちゃん、こわこわ」
のんちゃん、必死に手を伸ばして遠くに!
『ぴよ~(遠くになってないね~)』
『手が短いから仕方ないなのです』
『『『ですです』』』
「ぶぅー」
そんなことないよ。ちゃんと遠くになってるよ。
〖仕方ないね。ほらほら、ぴーちゃん。お話するならここでどうぞ〗ひょいっ
ぱぁぱが見かねて土魔法でちょっとした舞台を作って、のんちゃんの手からぴーちゃんを受け取って、そこに立たせました!
「ふおお~ぱぁぱ、ありがちょ」にぱっ
〖どういたしまして〗にこにこ
『む。そうだな』
あ、ぴーちゃんもやっと正気になったみたい。
『俺様と聖一朗の出会い⋯⋯それはな?』
「しょ、しょりぇは?」ごくり
みんな固唾を呑んでぴーちゃんの次の言葉を待つ
『それはな?あの野郎、いきなり俺様たちが眠る山を破壊しやがったんだ!』
「ほえ?」
『『『『山?』』』』
『『『きゅ~ん(おりぇしゃま、ちゃち?)』』』
ねぇねたちも、ポムちゃんたちちびちゃんズも首を傾げてます。
『そうだ。俺様とたまとポチはな?それぞれ司ってるもんがあってな』
「ちゅか?」こてん
『『『きゅん?(にゃに?)』』』こてん
「むじゅかちいね」
『『『きゅん(わかんないね)』』』
『ん~、ちびっこには難しかったか?なんて言や分かるか?役割りとか、担当って言えば分かるか?例えば俺様なら【炎】⋯⋯ええとめちゃくちゃ強い【火】だな』
「ぼぼぼ」
そういえば飛んでくる時、燃えてたね。
『そうだ。俺様は例えマグマに落ちたって死にはしない。まあ、ちょっとばかし熱めの風呂みたいなもんだな』
「ふおお~まぐま?ぐつぐつ」
そんなお風呂煮えちゃうよ?
『のん、普通は煮える前に跡形もなく燃えちまうよ』
『そうねぇ。ジュッて一瞬でなくなりそうよね』
『『『『ですです』』』』
「しょっか~」
じゅって、こわこわ
『まあ、そんでな?俺様たちはそれぞれ司るものの象徴みたいな場所に⋯⋯』
「『『『んきゅ?』』』」
しょちょ?なぁに?
『ぴよ~(のんちゃん、言葉がちびちゃんズになってるよ~)』
「『『『きゅ?』』』」こてん
そう?
『ぴよ~(まあ、いっか~)』
『ん~、簡単に言うって難しいな。俺様たちの役割に関係の深い場所って言えば分かるか?』
のんちゃんとちびちゃんずにも分かるように、何とか優しく言い変えようとしてくれるぴーちゃん。優しい兄貴!
「『『『きゅ』』』」こくん
うん。分かるよう~
『ぴよ~(いつの間にか並んで座ってるし~)』
〖だって兄弟みたいで可愛いでしょ?〗にこにこ
『ぴよ~(まあ、たしかに可愛いけど~)』
ぱぁぱがいつの間にか、ちびっこたちが陽葵に寄りかかって座れるようにゴザ敷いてるし。のんちゃんはもふもふにまみれてにこにこ。
『それでな?俺様たちはいわゆる霊山って呼ばれる山に住んでたんだ。俺様は燃えたぎる火山に、たまは鉱山、ポチは雪山。まあ、雪というか、ほぼ氷の山だな。火と氷、本来なら絶対にありえないものが隣会い、その影響で生まれたのが、たまの鉱山だ。この山はレア鉱石の宝庫だった。あ、すっげー力を持った貴重な石ってことだな』
「『『『きゅん!』』』」ふむふむ
「にゃかよち!」
分かったよ!それじゃ、たま、ポチ、ぴーちゃんはご近所さんで仲良しだったってことだね。幼なじみみたいな?
『まあ、時々喧嘩はしたが、仲はいい方だろうな』
『ぴよ~(主にじゃれてるのがぴーちゃんお兄ちゃんとポチで、たまが間に入っておとなしくさせる感じだよね~)』
『うぐっ⋯⋯そんなことは、ないと思うぞ?』ふいっ
「『『『ぷきゅきゅっ』』』」
そんなことあったんだね~ぷくく。
『まあ、なんだ⋯⋯とにかく、俺様たちは眷属たちも含めて山を守って育てながら平和に暮らしてたんだよ。あ、眷属って言うのは俺様たちの舎弟、子分⋯⋯こほん。仲間だな』
「『『『きゅ~』』』」
そうか~
『ぴよ~(言い直せてないかな~)』
ぴーちゃん、親分だったんだね。
『ところがだ』ビキキッ
「『『『きゅっ!?』』』」
急にこわこわ!?
『あんの⋯⋯あんのバカ聖一朗が、いきなり俺様たちの山に一斉に攻撃魔法をぶち込みやがったんだよっ!しかもわざわざ夜中にッ!』ぼんッ
「『『『きゅわわっ』』』」
ぴーちゃんから火が!火が!
〖おっと。これはいかんの〗
〖シールド張っておきましょう〗ぶおんっ
『ぴよ~(神様たちありがとう~)』
〖〖なんのなんの〗〗
ぴーちゃんから吹き出した火をぱぁぱとグランパが防いでくれてます。ぴーちゃん、怒りが爆発すると燃えちゃうんだね。のんちゃんが抱っこしてなくて良かった。
『ぴ、ぴーちゃん様、初代様は何故そのような暴挙に⋯⋯?』
自分のご先祖様のやらかしに、知りたくないけど知らないといけない気がすると、ぱぱが勇気をだして聞いてみた。
『主、震えてるねぇ』
『『『『ですです』』』』
『私、聖十郎を今日ほど気の毒に思ったことないわ』
『『『『ですです』』』』
ぱぱに向けられる、ママたちの目が痛々しいものを憐れむ目に⋯⋯
『んあ?何故だぁ?』ギンッ!ぼぼぼぼっ
『は、はひっ』びくぅっ
鋭く光った目と激しくなった炎がぱぱに向けられたけど、ぱぱ、目をそらさず何とか耐えた!
『主⋯⋯』うる
『聖十郎⋯⋯』うるる
『『強くなって⋯⋯』』うるうる
『ママとローズ様がご主人様の成長に感激してるなのです!』
『『『『ですです!』』』』
『おむつの頃も知ってるなのです!』
『ミルクもあげてたなのです!』
『仕方ないなのです!』
『もはや親目線なのです!』
『『『『ですです!』』』』
『うぐっ』がくっ
ぱぱ、家妖精さんたちからの思わぬ攻撃に折れた!
『お前、聖一朗の子孫か』
『は、はい。聖十郎と申します』
『十代目か⋯⋯。まだその名付け方だったんだな。でも、お前はまともみたいだな。苦労はしてそうだけどな』チラッ
『『大人になって⋯⋯』』うるうる
『『『『ですです』』』』
『うぐっ⋯⋯あ、ありがとうございます』
ぴーちゃん、ぱぱの犠牲でちょっと落ち着いた?
『そ、それで、初代様は何故⋯⋯私が変わって謝罪を』ぶるる
ぱぱ、既に土下座⋯⋯
『あ~、お前が謝るこたねぇよ。やらかしたのは、あんのバカだからな』メラメラ
『あ、ありがとうございます』ぶるぶる
ぱぱ、上から感じ熱にぶるぶるしながら、顔を上げた。そこに見えたのは
『あんのクソバカ聖一朗の野郎はなぁ』メラメラボボボッ
『ヒッ!』
さっきより燃えたぎるぴーちゃん!
『上空から俺様の眷属だったファイヤードラゴンと、たまの眷属だったミスリルリザードを両肩に担いで、ポチのアイスベアーを片手にぶら下げながら、俺様たちに向かってこうほざきやがったんだよ』メラメラメラッ
『『よう!俺は神代聖一朗だ!ドラゴン素材が欲しくてここまできたんだけどさ、ここ宝の山だな!俺、今レア素材を集めてんだ。悪いけど他にも色々もらってくな!あとさ、お前たち相当強いよな!俺と戦え!俺が勝ったらお前たち、俺の従魔な!そしたらここの山ごと俺のもん!俺はレベルアップして、強え仲間も増えて、レア素材も手に入って一石何鳥だろな?わはははっ』』
『てなぁ』メラメラゴォォォォ
「『『『きゅ、きゅあああっ』』』」
わあっ!ぴーちゃんが今までで一番燃えてる!
『しょ、初代様ぁぁぁっ、なんてことをぉぉぉっ!申し訳、ございませんっ!』ごすっ
ああっ!?ぱぱのおでこが埋まっちゃった!
〖聖一朗、滅茶苦茶だのぉ〗
〖子孫にまで迷惑をかけるとか~残念通り越して迷惑な男ですね~〗
神様も呆れ返ってます。
『それで、どうなったんだい?』
『ママ、それ、聞いちゃう?』
『だって一応ね⋯⋯絶対卑怯な手を使ったと思うんだよね』
ママ、これまでの話から、聖一朗が更にやらかしてるはずだと推測⋯⋯
『そこの家精霊、良い勘してるな。その通りだよ。あんのバカはなぁぁぁ』ゴゴゴゴっ
『『ほらほら!そんな攻撃じゃ当たらないぜ~?わはははっ』』ひょいひょいっ
『『『この卑怯者がっ』』』
『『ええ~?だって俺に当たったら痛いじゃん?それにこっちに当たれば俺がわざわざ仕留める手間が減るしさ?わはははっ』』ひょいひょいっ
『『『うぐぐぐっ』』』
『あんの卑怯者はな?俺たちの大事な眷属をどんどん自分の周りに転移させて、俺たちの攻撃からの盾にしやがったんだよっ』ゴォォォッ
「『『『きゅんっ!?』』』」
ひどいっ
〖〖鬼畜〗〗
〖じゃな〗
〖ですね〗
『『下衆』』
『だねぇ』
『よねぇ』
『『『『ですです』』』』
『『『ひどすぎるぴょん』』』
『『『『うんうん』』』』
『うわぁ、最低』
『『『同感』』』
『初代様ああああっ!何をしやがってるのですかああっ!?申し訳、ございませんっ!』ごすっ!
『『『聖十朗様っ!お気を確かにっ!』』』
『聖十郎様、なんと哀れな⋯⋯』
みんな、ドン引き⋯⋯
『挙句にな?眷属たちをこれ以上傷つけないなら、山の素材は使っていいし、俺たちを従魔にしていいと言った俺たちにな?』
ぴーちゃんの回想とお話はまだ続く
『『なら、お前は鳥だから名前は、ぴーちゃんだな!でもって、お前は丸っこいから、たま!そんで、お前はぴーちゃんにたまときたら、ポチしかないよな!わはははっ』』
『って、超適当につけやがったんだよ!な?ひでぇだろ?な?』
「『『『きゅうう~ん』』』」だばぁぁ
か、かわいそう~
『『『『『う~わぁ~』』』』』
〖聖一朗よ⋯⋯〗
〖鬼ですねぇ〗
『私がいたらしばいてやったのに』ぎりぎりっ
『私もよ』
『『『『ですですっ』』』』
『初代様が申し訳ございませんっっ』ごすっごすっ
『『『聖一朗様っ血がっ血があっ』』』
『お互い、酷い親族を持つと苦労しますね』さめざめ
みんな、涙を流しながらそれぞれの反応を⋯⋯とにかく、聖一朗の株は大暴落の末、地に落ちた。
『ぴよ~ぴよ~(あ~あ、だから聞いちゃダメだったのに~。セイイチロウ自業自得だよね~)』
この中で、ひまちゃんだけが冷静でした。
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
毎度、大変お待たせして申し訳ございません。
なるべくペースを上げたいのですが、中々上がらず⋯
他の先生方はどうやってあんなに更新できるのか?心の底から尊敬致します。
お読みくださってる優しい読者様、これからもお付き合い頂けたら嬉しいです。
お気に入り登録などすごく嬉しいです。ありがとうございます。
『転生初日に~』『転生美女は元おばあちゃん~』
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