第126話 遠慮のない女
「なんだよ……いいのがあるじゃん。さあて、どれにするかな。神前の父ちゃんは焼酎党か。それも叔父貴の甲種焼酎とは違って本格焼酎ぞろい。どれもおいしそうだ」
それを見てかなめは歓喜に震えた。誠から瓶を受け取るとラベルを真剣な表情で眺め始めた。
「南原酒造の言海か……うまいんだよな、これ」
そう言うとカウラからコップを受け取りかなめは遠慮なく注いだ。
「ちょっとは遠慮しなさいよね。それ確か結構な値段なのよ……まあ、かなめちゃんからしたら大したことないのかもしれないけど」
そういいかけたアメリアだが、腕につけた端末が着信を注げた。
「どうした」
カウラの言葉に首を振るとアメリアはそのまま立ち上がった。
「カウラちゃん食べててね」
そう言ってアメリアは廊下に出て行った。その様子を不思議に思いながら誠はアメリアを見送った。