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8話 休憩 Free time

あれから2日、エルヴィナさんの質問責めが終わり、
彼女は記録を作成するため部屋に引きこもっていた。
俺は街を一通り回ることにした。
活気があり、子供も多く時々蹴鞠のような遊びに混ぜられたりもした。
「おーい サトーじゃねぇか」
「お前は昨日の異世界人」
「セリオさん ですか」
「おーそうだ
こっちはフィディス」
「おい 異世界人に気安く名前を教えるな」
「ったくこいつは子供に懐かれるぐらいにはいいやつなんだよ
さっきの見ただろ
それに引き換えお前は子供からいっつも怖がられてんだろ」
「ふんっ 東洋人で背が低いから子供に同レベルと見られているだけだ
そうに違いない」
ちょっとへこむな。確かに、俺は日本人の平均身長より2センチぐらい低いし。
成人のエルリーフよりは平均で10センチぐらいは低い。
「へいへい
それでサトー
エルヴィナ様はどうしたんだ
見張りだろ?」
「今は部屋で俺の元いた世界についての記録を作っているみたいですね」
「はー すげぇな
さすがエルヴィナ様だ
で 何か聞きたいこととかあるか?
って2日もあればエルヴィナ様が色々教えてるか」
「――そうですね。」
基本的なことは全てエルヴィナさんに教わったが、何か聞かないのも勿体ないな。
「おー そういや魔具<ガイスト>は持ってんのか?」
「バカ 異世界人に見張り付きとはいえ持たせるわけにいかんだろ」
「えー 戦闘用じゃなきゃ別にいいだろ」
「そういえば 旧市街に封印されていた魔具<ガイスト>について気になりますね。」
いっけね エルヴィナさんの気になりますが感染っちゃったよ。
「おー あれか、あれは昔エルリーフの長が南方の地の王族から譲り受けたものらしくてな 
たしかインドラとか言ったか 戦闘用の魔具<ガイスト>の中でもかなり強いが」
セリオが苦い顔をしながら
「いわくつきだよ 使用者に正しい心がなければ使用者を燃やし尽くす、
1回村に入り込んだ泥棒が木から外そうと手を触れた瞬間に黒こげになって死んだんだ。」
「――――どうしてそんなものを」
危険すぎる気がする。ぞっとするね。
「さぁな いずれは使うような予言が出たんだろうぜ」
「予言―――ですか」
「まぁ7割ぐらいは当たるからな」
「いや最近は3割だろ
実際にこの内戦は一切予言に出ていなかった。」
「そうだな まさかな」
「一説には異世界人が絡んでいる事象は予言がゆがむらしいが」
フィディスが俺をにらむ。
「おいおい サトーはこっちに来たばっかだろ
まさか」
「まぁ インドラには触れないことだ。
あれは外部の者が触っていいものではない。」
「はい。」
カンカンカンカン!!!!!
激しい鐘の音があちこちで鳴り響く。
「何だ!?」
「千里眼<アルゴッサ>!!!」
ある男が魔具から魔法陣を展開し、酒場の壁に森の風景が投影される。
「――なん だ これ」
「森が
バカな森がただの火事で燃えるはずが」
「いや~~~~!!!!」
森が燃えていた。
明らかにただの炎ではない
青白い炎が拡散していく。
誰かがぽつりと言った
「転生者の魔法だ。」と。

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