7話 詰問 close questioning
長の家から出ると
「おーい サトー!」
セリオ 先ほどの独居房の見張りの男性が手を振っていた。
「あっ エルヴィナ様もごきげんうるわしく」
エルヴィナが見えたからかそーっとどこかに立ち去る。
「尊敬されてるんですね。エルヴィナさんは」
「そんなんじゃないけど。それより」
エルヴィナさんの目の色が変わる。
「あなたの元いた世界について教えて!」
俺の手錠を手品か何かでパカッと外すとずいずいと俺の方に迫ってくる。
「い いや、ここでは立ち話ですし」
ぐーーーっと俺の腹が鳴る。
「いくらでも作ってあげる。何が食べたい?」
「えっと…
腹が膨れるもので。」
エルヴィナさんの家は巨大なウッドハウスが3つほど連結した豪邸だった。
ぐつぐつと鍋2つが豆やら香草の匂いを漂わせる。
「それで 家電っていうのはどうやって動くの?」
俺は元いた世界についてさんざん質問責めに合い
「電気というエネルギーをコードから入れて げほ」
喉が枯れるまで喋らされていた。
「電気? 魔素<エレメント>に近いもの?
気になるわ。」
鍋を見張りながらも俺が黙る隙を与えず気になるわの質問責めにしてくる。
というか俺を助けたのはこれが狙いだったのね。
エルヴィナさんにも長と同じ1つの眼球に2つの瞳がある、
エルヴィナさんは瞳をうまく隠しているが、力んだ時とかは時々見える。
その目で俺が異世界人であるのは見抜いていたんだろう。
「逆に俺もこの世界のことが知りたいです。」
「そうね まずは魔素<エレメント>みたいな常識からでいい?」
「もっと基本的なことからがいいです。
あの家電のようなものやガイスト?っていうのも
あとは仕事があるのかとか」
「――ふぅむ どこから話せばいいのか困るわね」
「そうですね。順番にまずは」
色々とこの世界について聞いたが要約すると
・この世界では電気や化石燃料ではなく大気中に存在するエネルギーである魔素<エレメント>を取り出す魔術文明を築いている。
・そして文明の中心には魔具<ガイスト>がある。
・魔具<ガイスト>は魔術を誰にでも使えるようにした道具であり、人々の生活は飛躍的に便利になったということだ。
・今いる場所はアスター・ヴェルドリア連邦国、西に帝国と呼ばれる軍事大国、東にはアルテニア・真国と呼ばれる巨大な連邦国家、南にはムハバラト と呼ばれる国家に囲まれている。
・異世界人であることは基本的に隠した方が良く、仕事は魔具<ガイスト>が使えなければきつい肉体労働ぐらいしかない
色々と課題がありそうだが、
まずは魔具<ガイスト>ってやつを使いこなす必要がありそうだ。
元の世界でいうとスマホ、電話やPCに近い感じだろう。
「そろそろお昼にしましょうか。」
エルリーフの伝統料理は味付けは薄目だがかなりボリュームがあり、旨かった。
ハーブが効いており、さらに飽きないように何段階も味変できるように作られていた。
日本人はグルメすぎて異国だと食べるものがなくて餓死する危険があると何かで読んだが、
とりあえずエルリーフの村にいる限りは大丈夫そうだな。
まぁ、異世界だけどな。