オバケ屋敷
そのオバケ屋敷に入ったのはハルカが、珍しく入りたいと言ったからである。
ハルカは、普段ほとんど自己主張しない。
僕とハルカは微妙な関係だ。
僕は、毎年祭りでオバケ屋敷やってるな〜と横目で見ているだけだった。
恐る恐るオバケ屋敷に入ると森の中にいるような錯覚を覚えた。
僕は、嫌な予感がしてハルカ手をとって出口に向かった。しかし、出口が見つからない。
「これは、これは、久しぶりにこの道に迷い込んだお客がいるとは。」
と髪の長い女が出て来るて僕とハルカを見ていた。
「出口は、どこですか?」
と僕が女に聞いた。
「ここは、出口のない幻想の森だよ。」
と女は笑いながら答えた。
「幻想の森?」
「そう、普通の人間では入って来れないはずだが、何か取り憑いているか、過去に罪を犯してる人間だけが入って来られる。」
ハルカが、僕の前に、立って
「罪を犯したのはわたしです。」
と答えた。
「どんな罪を?」
女は、興味深いという様子をみせて聞いて来た。
「はい。昔ここに妹を置き去りにしました。」
とハルカはハッキリと言った。
「それでは、妹さんを取り戻しに来たと?」
と女は愉快そうに聞いた。
「はい。わたしがここに残って妹を代わりに取り戻しに来ました。」
「おねいちゃん!」
と小さな女の子が出て来た。
「チハル!」
とお互い抱きしめ合いながら泣いた。
「では、幻想の森、掟に寄ってこの中で最も罪深い人間とチハルさんとを交換しましょう。」
と女は言って呪文を唱えた。
僕とハルカとチハルは、眩しい光に包まれた。
そして、ハルカとチハルはオバケ屋敷の外に出た。
「おねいちゃん、どうして?」
「あの、お兄ちゃんは、連続通り魔事件の犯人なの。」
「そっか、じゃあ、お兄ちゃんが一番悪い人だね。」
とチハルはハルカの手を握って言った。