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デマ

死肉を肌にこすりつけて、死臭を漂わせれば、奴らに襲われないというデマが流行った。テレビドラマで、主人公たちが、そうやって難を逃れるシーンがあったからで、信じて試してみる者が後を絶たなかった。だが、実際には、死肉についていたゾンビウイルスを自分にこすりつけて、奴らの仲間になるのが早まるだけで、襲われないという効果は一切なかった。だいたい、もう神経組織が死んでいるので、奴らに嗅覚があるはずもなく、目も死んでいるから、奴らが、どうやって生きている人間を区別できるのか、未だ不明のまま、人々は、奴らから逃げ回っていた。

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