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死が二人を分かつまで

ガソリンの匂いがして、ふと目を覚ますと、体の自由がきかなかった。
「あら、目が覚めちゃったの、ごめんなさいね、寝てる間に楽に逝かせてあげようと思ってたんだけど。ネットで手に入れた妖しい薬だから、効果が弱かったみたいね」
「お、お義母さん・・・」
舌がうまく回らない、大声で助けを呼びたいが、「お義母さん」と口にするので精一杯だった。
「あなたたちの結婚に反対しててごめんなさいね、もう反対しないから、あの世で寂しがってるあの子のそばに行って二人仲良くね」
「!」
「あ、大丈夫、あの子が死んであなたが落ち込んでいたのをみんな知ってるから、あの子を追って後追い焼身自殺したってことにすれば、誰も、疑わないわ。それと特別に、あなたが死んだ後、遺骨はあの子と一緒のお墓に入れてあげる。うれしいでしょ。これからもずっと一緒にいられるのよ。私が行っても、あの子は喜ばないでしょうけど、あなたなら、大丈夫、あの子をよろしくね。さようなら」

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