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うちにエイリアンがいます

映画そっくりのグロテスクな風貌で、いかにも人を食いそうだったが、遠く、銀河を旅できる知的生命体だけあって、彼は温厚で、おとなしかった。
最初は、アメリカ大統領と平和的に接触しようとしたらしいのだが、彼の姿を見るなり、大統領のシークレットサービスは問答無用で発砲したという。
で、アメリカを逃げ出し、まともに話を聞いてくれそうな地球人代表として俺が選ばれた。俺はひとり暮らしで、エイリアンを匿っても平気であり、一目見て、彼の姿におびえなかったと言うのが、一番の理由だった。とにかく、うちに居候しているエイリアンは俺からパソコンを借り、どうすれば平和的に地球人と交流できるか模索していた。
いささか気になるのが、チラ見したとき彼が地球人が侵略者の宇宙人を敵として徹底的に撃退する映画ばかりを参考に観ていたことだった。実際、アメリカ人に発砲されたし、地球人に好感を持てと言うのが無理かもしれないが、野蛮な地球人は銀河の平和のため滅ぼすべしという結論にはならないで欲しい。

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