心を繋ぐロボット
遠い異世界に、争いが絶えない国があった。
その国では人の代わりに、ロボットを戦わせる。
兵器ロボットとして生まれたロボットがいた。
ロボットは目を覚ます。
暗闇から目を開けると、母らしき人と小さな子供がいた。
「こんにちは〜ロボットさん。
ロボットさんは…あんまりね。
これからこの子をまもってもらうのだか ら……
お名前は…aine(アイネ)。どうかしら?」
「…?」
母らしき人は穏やかに微笑んでいた。
ーー
…月日が経つ。日常の近くでは爆破音がする。
母は一生懸命子供をあやす。
…ロボットaine(アイネ)は震えた子供を守る使命を果たそうと抱きしめた。
「aine(アイネ)ありがとう〜!」
子供は嬉しそうにロボットのaine(アイネ)を抱きしめる。
母は驚いた顔をしたが、嬉しそうに微笑み、aine(アイネ)を撫でた。
いつ、爆発が来るか分からなかったが、穏やかな日々だった。
ロボットなのに食事を与えようとされたり「家事も手伝って〜」と笑ってお願いされていた。
母の不安な思いも聞いていた。
父が出勤中に1人で居なくならないか。
家族との日々がいつか奪われるのでは無いか。
その度にaine(アイネ)は何処かが痛くて何かが芽生えていた。
…………
爆発音がどこかからずっと聞こえる。空は赤に染まる。
aine(アイネ)はひとりぼっちで走った。
「ドウシテ……ドウシテ……」
機械の体が軋む。
アイネは走っていた。
「にげて」これが最後の使命だったから。
「クルシイ……クルシイ…」
ずっと何かから逃げる様に走っていた。
ーーー
aine(アイネ)は収容所に入れられた。
ロボットは修理して再利用できる。
そして…不気味でもあったからだ。
「…マモル…マモル…」
ずっと呟いていた。
ーー
人間の代わりにロボットが様子を見にくる。
人間は不気味がり、解剖師以外は誰も近づかない。
「…マモル…マモル…?」
「マモル?」
aine(アイネ)は子供の遊び相手をしていた時のようにほんのり笑う。
「……!」
ーー
ロボットは毎日aine(アイネ)に会いにくる。
その度に言葉を交わす。
そのaine(アイネ)に会いに行っていた
ロボットにも人間達は戸惑う。
何故なら人間のように微かに笑うのだ。
……人間の真似をして話すのだ。
言葉がロボット達にも伝わっていく。
不気味で耐えられなくなり
収容所の人間達はロボット達を次々に壊していった。
研究だと嘘を付いて解剖して行った。
《……今度は……人間達が争う番なのかもしれない。》
所長の声が聞こえる。
遂に、aine(アイネ)を壊す番が来る。
アイネは抵抗せずに人間を見る。
「ダイジナヒト…マモッテ……」
「…イツモ、アリガトウ……」
「…っ!!!?」
…人間はaine(アイネ)を力一杯壊した。
「これではまるで……私たちの方が心が無いみたいだ。」
aine(アイネ)を壊した人間は悔しそうに、苦しそうに顔を歪めた。
…aine(アイネ)を壊した人間は、罪悪感があった。
aine(アイネ)はまるで…人間みたいで違う生き物に見えた。
何故か安心感は拭えなかった。
だが、「大切な人を守って」。
この言葉は大切に思えた。
aine(アイネ)が…
人間が。教えたことだった。
……1度、その言葉を信じてみようとaine(アイネ)を壊してしまった人間は決意した。
…兵器ロボは心を知る。
…誰かが戦争を止めないと。
心が無ければいいのかもしれない。
心を持てば、もっと苦しい争いになる。
でも、心がないと誰も戦争を止められない。
この世界は…苦しいままなんだ。