神様、お願い、私を犯人にしてください
「犯人にして欲しいとは、奇妙な願いだ。本気か?」
「はい、本気です。でなければ、彼が犯人として捕まってしまいます。冤罪なんです。お願いですから、私を犯人にしてください」
「冤罪? 君は彼が犯人ではない証拠を持っているのかい?」
「証拠はありません。でも、私は彼を助けたいんです」
「自分が犯罪者になっても?」
「はい、きっと彼は、私の行為に一生感謝するでしょう。私のことをひと時も忘れないでしょう」
「つまり、彼のために罪を被る代わりに、彼を一生自分に縛り付けると」
「これも、愛だとは思いませんか、神様」
「愛と呼ぶには、いびつなような、しかし、君からの貢物は確かに届いた。よく、これだけ生贄として殺した。神として、かなえぬわけにはいかぬであろう」