私が殺した
彼は自信満々に推理を披露して、別人を犯人として指差したが、あの男を殺したのは私だった。つまり、冤罪である。だが、黙っていれば別人が犯人として捕まり私は自由を謳歌できるのに、わざわざ、自分から犯人だと名乗り出る必要があるだろうか。犯人として名指しされたおじさんもあの男を恨んでいて、実際に彼の推理通り、完全犯罪のトリックを用意したが、最後の殺害は、あの男を恨んでいた私が、実際に手を下したのだ。たぶん、犯人と名指しされたおじさんも誰が本当の真犯人か気づいているだろう。だが、おじさんは、私のためにあえて事実を隠して捕まった。
事件を解決して、得意そうに笑っている名探偵に、真犯人は私ですと名乗りたくなる誘惑を隠して、今日も私は名探偵の助手を続けていた。