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呪詛返し

「あんた、そんな紙切れで呪いが防げると本気で思ってたの?」
「な、なに、う、ぅぅ、苦しい・・・」
床の上で、見えない何かに首を絞めつけられて苦しんでいる彼女を、私は見下すように見ていた。
「あんたには隠してたけど、それ、この私がお札っぽく描いたただの落書きだから、呪詛返しの効果も何もないから」
「な、なに、言って・・・、う、ぅぅぅ、息が・・・」
「ついでに教えてあげると、この呪いも私があんたにかけたものなの。だから、本当に呪詛返しの効果のあるお札なんか渡したら、私が死んじゃうじゃない。そんなことするわけないでしょ」
苦しみながら、私を愕然とした目で見る彼女に私は親切に教えてあげた。
「あんたが彼と付き合って私より幸せになるのが許せなかったの。友達って、やっぱり、対等じゃないと友達とは言えないでしょ。でも、安心して、もうこれで、あなたに隠してることはなにもないから」

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