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268 岩石の村の護衛と、マナト

 パニック状態になりつつあったステラをなだめつつ、マナトは岩石の村の事やサーシャについて説明した。

 「へぇ~」

 マナトから聞くと、ステラは建物の角に隠れたまま、こっそりとサーシャを見つめた。

 「岩石の村の交易担当、いろいろ噂あったけど、あんな感じなんだ」
 「そうですね」
 「あっ、あの後ろの人って……」

 ラクトとサーシャの後ろに、割烹着姿の召し使いが同行しているのが見えた。

 「サーシャさんの召し使いですね」
 「ふ~ん。なんか、お嬢さまって、感じね」
 「そうですね。実際、そうだと思います」

 建物のかげでコソコソ話しているステラとマナトに気づくことなく、ラクトとサーシャ、召し使いの3人は横を通りすぎた。

 時おり、ラクトが、「えっ、なに?」と、耳をサーシャに寄せている仕草が垣間見えた。

 こっちには聞こえてこないが、なにか話してはいるようだ。

 「……でも、ちょっと、あの2人の距離、近くない?」

 ラクトとサーシャの背中を見ながら、ステラは言った。

 「えっ?えっと……」

 ステラに指摘され、マナトは改めてラクトとサーシャを見た。

 ……確かに、そうかも?

 マナトはそこまで気にならなかったが、言われてみれば、心なしか、歩くラクトとサーシャとの距離は、近いといえば近いようにも思えなくもない。

 「なんかすごい、親密な雰囲気、出てない?」
 「う~ん、どうなんでしょうか……」
 「というか、どこに行くのかしら?」
 「さぁ……」

 ラクトとサーシャ、召し使いの3人は、大通りを通りすぎて、石造りの住宅が建ち並ぶエリアへと消えていった。

     ※     ※     ※

 マナトはステラと別れ、中央広場のほうにやって来た。

 市場に寄り、小粒の果物をいくつか購入。

 そして、岩石の村の護衛達が担ぎ込まれた、医療施設の入っている建物に、マナトはやって来た。

 先のラクトとサーシャを見て、サーシャよりも、負傷した護衛達のほうが、どうしているか、気になったのだ。

 扉を開けて、中に入る。

 中はどちらかといえばサライのようなつくりで、廊下に等間隔で両サイドに部屋が設けられているつくりだ。

 その中の一室に入る。

 「おっ……」

 寝台で横になっている護衛の一人が、マナトを見ると、挨拶した。

 ロアスパインリザードの尻尾が直撃して、一番、深手を負った一人だった。

 「君は、たしか、あの時、水をくれたキャラバンじゃないか……」
 「どうも。お見舞いにやって来ました。これ、食べれるときに食べてください」

 マナトは手持ちの、先に購入した果物をテーブルに置いた。

 「ありがとう……」

 マナトに礼を言うと、護衛は天井を見ながら、無気力に言った。

 「すまないな、まだ、起き上がれないんだ……」
 「そうですか。なら、果物は、寝台の横に……」
 「ホントに、情けない……情けない……」
 「……」

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