2 異世界へ
目が覚めると田舎風景が広がっていた。体には全く違和感がない。草原、山々が広がっている。
俺、異世界に来たんだな。
そう思い浸って辺りを見渡していると。遠くに道が見えた。
「あそこに行けば人に会えるのかな。」
そう思って道の方へと歩いて行った。やがて道が見えて来た。
「どっちに行こうかな。」
「あ、そういえば釣り竿もらったんだった。でも俺の手には何もない。神様忘れたのかな。」
と、その時脳内に神様の声が響いた。
『もしもーし。あ、これ電話じゃなかったのう。もー機械音痴のおじいちゃんは黙ってて!いやこれ機械じゃ、祐介くん!久しぶり!』
「あ、うん。久しぶりー。」
神様は相変わらず孫の尻に敷かれているようだ。
『ごほんっ、気を取り直して。祐介よ、お前に釣竿を授けると言ったのだが手元にないから不安になっとる頃だと思うのじゃが。』
「わざとらしいという感想を胸の中にしまっておくとして、本題は?」
『……まぁいいわ。釣竿の出し方は、手を釣竿を握る形にして釣竿を思い浮かべたら出てくるぞい。』
「なるほど、ありがとう。さっきの怒りは心の中にしまっておくとするよ。」
『怒っておったんかい。まぁ、それでよろしくの。じゃあまた何かあったら連絡するからな。ここで頑張って、祐介くん元気ー?また困ったことがあったらいつでも呼んでねー!……そういうわけでまたな、祐介。』
「うん、ありがとう。」
相変わらず賑やかな人たちだったな。
「さて、釣竿で方角を決めるとしますか。」
俺は手を上に掲げて釣竿を持つ形にして釣竿を思い浮かべた。すると手に木の竿が現れた。
「すごくふつうの竿だ……。確か、何でも釣れるって言ってたよな。」
俺はとりあえず竿を投げてみた。そして釣りたい魚の外見や能力を想像してみた。
「うわっ!」
すると目の前に小さな池が現れた。次の瞬間、竿が少し動いている。
「まだだ……。まだまだ……。……今だ!」
俺は今までの釣りの経験を集結させて魚を釣り上げた。すると、出目金が釣り上がった。
「よし、成功だ!」
これは道案内をしてくれる出目金だ。ちなみに喋る。可愛い声で。……そのはずだった。
「そこの道を左だ速く行ーけ。」
手のひらサイズで声はおっさん、口が悪い出目金。……最悪だ。
「じゃあ、言うことを聞きますか。」
俺は出目金の言うことを聞いて街へと向かった。
出目金はビニール袋の中に水と一緒に入れた。
「なぁ、お前名前なんて言うんだ?」
「俺には名前なんてなーい。名付けるがよい。」
「そうか、わかった。んー……、金ちゃん。」
「それがよーい。」
とまぁこんな感じで進んでいた。
「思ったけど、水とか食料とかどうすればいいと思う?」
「そんなの知るか。俺はお前の道案内をするだけだ。」
「そうですかい。」
なんて可愛げのない金魚なんだ。すると後から馬車の音がした。