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1 プロローグ

俺は死んだ。なぜ死んだかというと、神様同士の喧嘩に巻き込まれて現実世界に魔法が飛んできたのだ。それが見事俺に命中。そんな感じで死んだのだ。

「すまんのぉ。本当にすまんのぉ。」

「いえ、事情はわかったので大丈夫です。」

「こやつがわしのどら焼きを勝手に食べんかったらこんなことにはならなかったと思うんだがなぁ。」

 目の前にいる髪の毛のない白髭の神様は右隣にいる少女を指差して言った。

「それはもうよくない?!」

「よくはなかろう!この人死んじゃったんじゃぞ!」

「まぁそれは悪いと思うけど……。」

「あの……本当に僕は大丈夫なんで。」

 ここはどうやら天国らしい。この人たちがここで暮らしている。畳が10畳くらい敷き詰められていてこたつにレトロなテレビ。またタンスもあって昭和のモデルのような部屋だった。それ以外は雲が見渡す限りに続いていた。

 俺は学校の帰り道に1人でコンビニに行っていた。そしてコンビニを出た時に目の前を歩いていた女性がハンカチを落としたので「あの」と言って渡そうとすると女性が振り返る前に俺は魔法に撃たれて死んでしまったのだ。

 何ともカオスな状況になったのであの女性もさぞ驚いたことだろう。

「喧嘩の原因がこやつにあるとはいえ、わしもやりすぎた。非はわしにある。どうかわしを責めてくれ!」

「おじいちゃん……!」

「いえ、別に責めたりなんかしませんから!」

 家族の友情物語が始まったところで僕は神様に声をかけた。

「あの、何故僕はここにいるんですか?」

「あぁ、そのことなんじゃが、佐藤祐介、お前さんはわしらのせいで死んでしまったのでそのお詫びをしようと思ってな。ここは人間がこれる場所ではないのだがな。」

「そうなんですか。」

「しかしびっくりしただろう。まさかこの年で死ぬなんて。」

「まぁ。」

 この年で死ぬなんて思ってもなかったがすんなり受け止められるなぁ。あ、ここの畳少し破れかけてる。
 
「で、僕はこれからどうなるのですか?」

「そのことなんじゃが、異世界に行って人生をやり直すってのはどうじゃろうか?」

「異世界ですか……。」

 漫画とかでしか聞いたことがないな。

「そうじゃ。神のルールとして元の世界に戻すことはできんのじゃ。すまないが異世界に行ってくれるか?」

「全然大丈夫ですよ。」

「いいのか?」

「はい。少し興味がありますし。」

「そうか……。それならよかったわい。」

 そう言って神様は胸を撫で下ろした。

「あ、そうそう。異世界に行く時に一つお願いを叶えてやることができるんじゃが何がいいかのぉ?」

「頼み事か……。」

 趣味は釣りだから釣りで楽できるアイテムなんかがあったら便利だな。

「では思った魚を何でも釣れる竿とかお願いできたりしますか?」

「おまえさん……そんなんで良いのか?」

「え……あ、はい。」

 てっきり断られるのかと思った。

「あと向こうで困らんように身体能力、魔力、その他色々な基礎的能力なども底上げしとこうかのぉ。」

「はぁ……。」

 何から何まで悪いな。

「さぁ、そろそろ時間じゃ」

「何から何まですみません。」

「いや、元はわしらがやったことじゃ。もっと他にしたいくらいじゃがこれくらいしかできんですまんのぉ。」

「いえ、とても満足してますので。」

「バイバーイ!」

「ばいばい。」

 いい人たちだったな。神様の孫も可愛かったし。まぁ別にロリ趣味があるわけじゃないけどね。

 最後に見たのは2人の笑顔だった。それを見て俺は意識を失った。

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