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第43話 風魔法?

さて、神樹の精様と神様が、エルフの大バカと対峙している頃・・・

『やっぱり森の中にもいたねぇ』
『そうだね』
『でも、反応は二種類だったねぇ。しかも、同時だった。どう思うかい?主』
『うん。神樹の精がちょっと頑張ったみたいだね』
『同時に二つの大魔法を使ったのかい?無茶するねぇ。キレ過ぎてやしないかい?』
『う~ん。まあ、彼女はただの精霊じゃないからね』
『ああ、私らと違って生まれが天界だもんねぇ。たしか、天界では神界樹って言うんだっけ?』
『そうそう。その神界樹の中で魔力の高い一本を、神様が地上のために下ろして下さったのが、神樹の精なんだよ。だから、彼女にとっては大したことないのだと思うよ』
『ふ~ん、普段はあんなにぽやぽやしてるのに、中身はえげつないんだねぇ』
『そうだね~』
『それより、どう出ると思うかい?』
『うん。あいにく、加護を外された場所があいつらの巣よりこちらの方が近かったからね』
『来そうだねぇ』
『来るだろうね~。ただ、もうひとつの反応もアイツらに近かった。どちらかがもう片方の動きを監視していたのか、互いに監視しあっていたのかは分からないけど、アイツらが動けばもう片方もこちらに来るだろうね』
『加護倍増だろ?』にやにや
『だね。加護を失ったヤツらと、新たな加護を得た者たち。明らかに今までのバランスは崩壊するね』ニヤリ
『だねぇ』ニィっ

『悪人顔です~』
『怖いです~』
『なんか企んでるです~』

『『ふふふふふ』』

『『『極悪人顔に進化です~』』』ぶるぶる

こちらも何やら黒かった・・・


そして

『さて、お前ごとき(・・・)にも分かるように説明してあげましょうか。・・・あら、今日はあのバカの顔が見えないわね』

『あ、あのバカ?』

『あのバカと言ったらあいつしかいないでしょう?あんたのバカ息子よ』

『な、我が息子を愚弄するかっ』

『はあ?あんたそっくりなヤツを褒めるとでも?』ギロッ

『ヒッ』ガクガク
な、何だ?怒り?いや、それ以上に

『教えてあげる。森はあんた達を憎んでるわ。無駄に森を傷つけ、動物たちを戯れで殺すあんた達を森は許さない』

『な、何をっ自分たちのモノをどう扱おうとっ』

『はあ?あんた達のもの?・・・ふざけたことをほざくなっ』ギンッ

ブワッ

『ギャッ』
ダンッ!!
『かはっ・・・』
な、何が・・・

〖ああ、神樹の精。まだ殺しちゃダメだよ。まだ(・・)ね・・・〗フッ

『・・・っ』
ま、まだ?

『あら、ごめんなさい。つい・・・でも、エルフの長なんて口だけね』

『なっ』
なんだとっ

『だって、私は魔力なんかこれっぽちも使ってないのに吹っ飛んでったわよ?』

『バカなっあれは風』

『風魔法?バカ言わないで。風魔法って言うのはこういうことを言うのよ』スッ

ブオーっ

『なっ・・・ギャーっ』
な、何だ?手をこちらに向けられた途端・・・

『あ、ああ・・・』
『なんということだ』
『し、城は?』
『城はどこへ?』
周りのざわめきにおかしい事に気づき、顔を上げる。ここで自分が無意識に地面に這いつくばっていたことに気づいた。な、何たる屈辱っ!だが、目に入って来た光景にそんな考えも吹き飛んだ

『な、なんだ?なぜ、何も無いのだ?』
儂の、儂の城は

〖城?随分と脆弱な城だな。ただの風で飛んでいくなど〗

『は?』
ただの風だと?そんな訳が

〖しかし、竜巻でも風刃でもない、ただの風で飛んでいくなど・・・ああ、そうか。ギラギラしただけのハリボテだったのだな〗
『これで分かったでしょ?さっきのは風じゃないって。ただの私から漏れた、ただの気よ』ジロッ

『あ、ああ・・・』がくっ


神様と神樹の精様、裏の声

『あ~スッキリね!あ、でもあんな禍々しいもの、欠片でも森にいれたくないわ!』

〖大丈夫だよ。ちゃんと消し飛ばしといたから〗

『まあ。ありがとう』にこ

〖どういたしまして〗にこ

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お読みいただきありがとうございます。どっちが悪役か分からなくなって来たような?

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