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3話 失恋

 理恵は、祐美と何度も会ううちに、祐美を恋愛の対象として見ていた。ある日、勇気を出して、歩いているときに手を握ったら、祐美は拒否することなく、笑顔で理恵の方を見返した。でも、嫌われてしまうと思い、流石に告白までする勇気はなかった。
 
 ある日、SNSで、レズビアンの部屋というサイトを見つけ、どうも、日を決めて出会うというグループを知った。もしかしたら、部屋にいくと男性とかいて、強姦されてしまうんじゃないかと心配はしたが、興味もあって、行ってみることにした。

「こんにちわ。理恵ですけど、いらっしゃいますか?」
「理恵さんですね。お待ちしていました。どうぞ、お入りください。」

 マンションの1室に入ると、高校生ぐらいの女性1人だけで、暴力団の男性とかはいなかったので一安心した。親はいないようで、通路側の、その女性の部屋と思われる所に通された。部屋は6畳ぐらいで、机とベットだけがあるシンプルな部屋だった。

「こういうの初めてよね。大丈夫だから安心して。まだ中学生なのね。私は高一だから、ほとんど同じ年よ。座るところはベットぐらいしかないけど、まあ座って、ゆっくりして。」
「はい。」
「緊張しなくていいから。あなたも、男性に興味を持てないの?」
「そうなんです。なんか、気持ち悪くて。逆に、好きと思っている女性がいるんですけど、言い出せなくて。」
「そうなのね。それは辛いわね。このグループは、そんな話しをしたり、女性どおしでエッチしたりするところなのよ。」
「女性どおしでエッチって、どうするんですか?」
「興味ある?」
「あります。」
「じゃあ、実体験してみるのが早いわ。」

 その女性は、理恵にキスをしてきた。理恵は、どうなるのかわからないので、相手に任せることにした。舌を口の中に入れられ、長い時間、キスは続いた。チュッて軽く唇を合わせるのがキスと思っていたので、こんな濃厚キスには驚いたけど、女性とのキスは違和感が全くなかった。

 その後、スルスルと服を脱がされ、いつの間にか、ブラもパンツも脱がされていた。彼女の頭が私の下半身を覆い、その後、棒みたいものも入れらた。少しづつだったので、思いのほか痛みはなかった。

 その日は、それで終わったが、何回か訪問しているうちに、お互いに過激になっていき、両方に反り立っている棒をお互いの中に入れて抱き合うようにもなった。

 もちろん気持ちいいということはあるけど、むしろ、体が一つになっていることで、今、ここで、2人が一緒だという気持ちになりたかった。日頃、学校では1人ぼっちであるからこそ、誰かと一緒の時間を過ごしたい、私は愛されているんだって感じたかった。

 彼女とは主に体だけの付き合いだったが、悩みも聞いてもらった。だから、飾ることなく、本音でなんでも話しても嫌われない人であり、その人と一体になれるこの時間は好きだったし、心の支えになった。

 しばらくして、理恵は高校に進学した。同じ系列の清和女学院の高等部で、特に入学試験とかなく、そのまま進級する形だったので、受験という苦労はなかったが、クラスメートは大きく変わりばえせず、疎外感を感じる毎日は続いた。

 祐美との関係も続いていたが、ふとした時に、理恵が道を歩いているのに気づかれ、とあるマンションの一室に入っていくのを見られてしまった。その後、祐美が玄関の前でしばらくいると、通路側の部屋の窓から、女性二人の喘ぎ声が聞こえてきて、祐美は、何が起こっているのかわかった。あれはテレビとか映画じゃなくて、今、ここにいる女性どおしの声に違いないと。

 祐美は、数日経った後、理恵から、会おうと誘いのメッセージが届いたが、無視をし続けた。何で返事くれないのって理恵から何回も連絡が来て、返事するか迷った。だけど、理恵は女の人とエッチしているのね、そんなの気持ち悪いわ、私のことそんな目で見てたのね、もう会いたくないと返事した。

 どうしてバレたか分からないけど、本当のことなので、泣きながら諦めるしかなかった。もう、会えないんだと、実感が湧いてきて、涙が止まらなかった。

 レズビアンの部屋で知り合った彼女とは、関係は続いたが、そうは言っても、少し感覚が違うからか、付き合うということろまではお互いに発展しなかった。

 高校では、美沙とは引き続き仲良くしていたが、ランチの時も、学校に来るときも、帰る時も、1人の時間が増えた。やっぱり、私って、こういう人生なんだわ。性格が悪いのね。でも、無理しても治せないんだから、今の状態に慣れる方が簡単。1人でいる時間が増えると、笑顔も少なくなり、理恵は、暗いイメージに見られるようになっていった。

 ある日、電車に乗っていると、突然、お尻を触られた。何? 満員電車だったので、振り向くこともできずにいたが、続けて触ってくるので、手を握ってやった。そして、次の駅で、駅員さん、痴漢ですって、その男を突き出してやった。その男性はホームから逃げ出そうとしたが、周りの人に押さえつけられ、警察に連れて行かれた。

 そんな事件が校内でも、噂になり、理恵って、正義ぶって、つまらない女、冷たい女、暗い女、気に食わない人がいると男使って暴力を振うらしいとみんなが噂するようになった。美沙も、その頃になると、私に近づくといいことがないって避けるようになり、ますます1人になっていった。

 どうして。ブルマ盗まれた時だって、痴漢された時だって、私が悪いわけじゃないのに。それを悪いって言っただけじゃない。女性どおしで寝たって、他の人に迷惑をかけているわけじゃない。どうして、みんな、私のことが嫌いになるの。

 暗い気持ちで高校生活を過ごしたが、理恵は、大学では、高校からの推薦入学は今いるクラスメート全員じゃないし、外からも入ってくるので、気分一新できると、ワクワクとしていた。

 また、両親がサンフランシスコに転勤となり、自宅は他の方に貸すことになったので、理恵は、大学の寮に住むことになった。寮は2人の相部屋で、女子大なのでもちろん女性と2人で暮らすことになる。仲良くできるか不安もあったが、ここで気分を変え、明るく振る舞い、その女性と仲良くすることに全力を尽くすことにした。

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