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第21話 記憶と名前

き、記憶と名前を消す?

〖そう!嫌な思い出も名前もパーッと忘れて、思いっきり二歳のちびっこから人生やり直しちゃおうよ!スパーっとね!〗にこにこ

「ええええ?」
スパーっとって?で、でも、私にも忘れたくない思い出が⋯思い出が⋯あれ?あれれぇ?

〖あるかい?きっとあっても、近所の畑を貸してくれたおじいさんと、図書室で読みまくったお菓子やご飯のレシピ本くらいじゃないかな?〗

「ほあっ?なななな?」
なぜそれ⋯

〖なぜそれをって?〗

「⋯⋯っ」こくこくこくこくっ
そう!おじいさんはともかく、レシピ本のことはっ

〖日本の神様が教えて下さったんだよ〗へにょ
うわぁ何?その哀れみの目は?それより

「な、なななな⋯」
に、日本の神様が?な、何をっ

〖何を仰ったかって?〗

「⋯⋯っ」こくこくこくこく
聞きたくないけどもっまさか理由までは、バレて⋯

〖図書館や図書室は君にとっての家族やいじめっ子からの避難場所であり⋯〗

「⋯⋯」だらだらだら
あ、あれ?おかしいな?この流れはもしかして⋯?

〖そして、レシピ本は出来上がったお菓子やご飯を想像して、お腹いっぱいになったつもりになるためだったんだよね?〗ぐすっ

「⋯⋯っ」ガーンッ
ば、バレてるじゃーんっ

〖まあ、想像力たくましすぎて、かえってお腹減っちゃったことが多かったみたいだけどねぇ〗ぐすんっ

「⋯⋯」パクパク
な、なななぜ、そこまでっ?は、恥ずか⋯『『『『『『ずびいっ』』』』』』⋯し、い?

な、何か嫌な予感が?そろ~り⋯
「ほあああっ?」
〖ありゃあ~〗
みんなが滂沱の涙が!?

『く、空想でお腹を満たそうだなんて⋯』うううっ
『な、なんて可愛そうなのぉ』ああああっ
『くっ⋯これからは私がそんなひもじい思いなんてさせるもんかいっ』くうっ⋯
『『『手伝うですぅ』』』
『『『今から作るですぅ』』』
『『『うわあああんですぅ』』』
『『『⋯お腹すいてない?』』』
『『『⋯木の実取ってこようか?』』』
『『『⋯美味しいの探してくる』』』
『『『『『⋯っ』』』』』こくこくこくこく
『『『⋯妖精さんたちも行くって』』』
ぐすぐすぐす

「あわわわわっ」
どどど、どうしよう~
『あちゃ~みんな更に泣いちゃったね~あ、あはは』

笑い事じゃないでしょ?
神様がそんな恥ずかしいことバラすから~っ
きっとみんな私のこと残念な子とか、恥ずかしい子って思ってるよ~

〖いやいや、そんなことは誰も思わないよ⋯〗
そんなことないよっ

『嬢ちゃん⋯』
「あ、あい⋯」ごくっ
な、なんですか?ママ

『そんなくだらない記憶、とっとと消しちまいな』
「え?」
『それで私の娘になりな。いつでも美味いもん食わせて、甘やかしてやるよ』
「え、ええええ?」
む、娘?
『『『兄妹なるですーっ』』』
『『『姉妹なるですーっ』』』
『『『妹よですーっ』』』
「ええええ?」
家妖精さんたちまで何言ってるの?

『ダメよっ私の娘に決まってるわっ』
『ふんっ神樹の精様じゃ、飯は作れないだろ』ふふんっ
『ムキーッ!それは何とかするわよ!』
『無理だろ?』ふふん
あわわわわっけ、喧嘩?

『違うだろ?この子はハイエルフなんだぞ?私の娘で決定だろ?名前だって私がつけてやる。安心して名を捨てていいぞ』にっこり

「へあっ?」
ええええええ~?

〖ふふ、モテモテだね~〗にこにこ

神様、爆弾落としといて、何を呑気なこと言ってんの!?

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