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12話 新居

 美奈のサポートで、次々と会社情報を盗んで、この組にとって、美奈は不可欠なメンバーとなっていた。
「美奈、ボーナスで、高層マンションの一室をあげることにした。また、これから1回200万円をやる。」
「え、やったー。気前いいね。高層マンションって、どこ。」
「高輪にある、グランドメゾン高輪っていうマンションで、最上階の25階、200平米だ。」
「えーっと、グランドメゾン高輪? 携帯で調べよう。あ、ここだ。すごーい。これは欲しい。明日からでも入れるの?」
「入れるさ。ただ条件があって、これからもずっと他でこの仕事はしないという条件だ。これをのんでくれたらということだが、いいよな? 」
「そんなこと、当然OKだよ。」
「じゃあ、ここにサインで完了だ。」
「わかった。明日、楽しみー。」

<これで、暴力団組員として確定ね。逃げられない。あなた、何やっているかわかっているの? そんなご褒美があるってことは、それ以上の成果を求められているんだから。本当にダメね。こんな女になるなんて思っていなかった。今考えると、あのドクターのせいよ。すぐに日本に戻って、祖父とかに育てられていれば、こんなことなかったのに。私は不幸ね。>

 美奈は、家に帰って、彼にいった。
「ハッキングのお仕事、紹介してもらい、ありがとう。それで、そのオーナーのボスから言われて、引っ越すことになった。これまでありがとう。」
「そうなんだ。寂しくなるけど、そっちの方がいいね。警察のガサ入れとか、心配しているのかもしれない。たまにはお邪魔してもいいかな。」
「もちろん。後で住所送るから、いつでも来て。明日の朝に出るから、今晩が最後だね。」
「あっちにいったら、ずっと裸で過ごしているのかもしれないけど、風邪とかひかないでね。明日、またお別れするけど、元気でね。」
「そっちも元気で。じゃあ、寝よう。このベットで寝るのも今日が最後か。でも、あなたも、床に寝ずに、明日からベットで寝れるのは、嬉しいよね。これまでごめん。」
「気にしなくていいよ。楽しかったから。」
 2人は電気を消して、ゆっくり眠りに落ちていった。

<この人を大切にしろと言ったじゃない。もう、ダークな世界にまっしぐらね。本当に、どうしようもない子。>
<何とかやり過ごせた。この男性には、もっと普通の女性と一緒になって、心穏やかに過ごさせてあげるんだ。やっぱり、嫌な思いしたくないし。>

 翌日、美奈は新居に到着した。
「わー、ベランダからの眺めが最高だ。最上階で、この部屋から、私だけの広いテラスにつながっていて、プールとかも小さいけどあって素敵。こんなところで、プライベートのカクテルパーティとかするのね。映画みたい。また、部屋もいっぱいあって綺麗だし、これが東京って感じね。ちょっと、この辺、散歩してきてみよう。」
「こんなおしゃれなカフェとかあるんだ。いいね。ちょっと入って、カフェラテとか飲んじゃおう。」

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