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1話 異国での事故

 隆は、今日は、お母さんと一緒にギャガ王国に到着し、飛行場でお父さんと待ち合わせすることになっていた。お父さんは、日本から、ギャガ王国にODAで活躍する技師として大手の伊東建設から派遣されていて、2人は旅行でお父さんのいるギャガ王国に来たのだ。

「お、隆、久しぶりだな。もう中学1年生だな。何歳になったっけ。頑張っているか? お母さんをお願いしていて、すまんな。」
「お父さん、久しぶり。元気にしている?」
「元気で、頑張っているさ。美和子には迷惑かけてるね。」
「そんなことないわ。思ったより元気そうじゃないの。迷惑なんかなくて、自由に気楽に過ごしているわ。それより、あなたが羽を伸ばして、女性の影とかないか調べにきたって言ったら怒る?」
「そんなこと、あるわけないじゃないか。まあ、疲れただろう。車に乗って。」

 3人は、現地のドライバーが運転する社用車に乗って、会社が用意している社宅に向かった。車が走り出して、空港から5分ほど走ると、道路はあるが、その横は野原が広がっていて、道沿いに露店のようなお店が並んでいた。

「なんか東京とは違うね。埃っぽいし。お父さん、こんな所で仕事しているんだ。」
「お父さんは、この国の鉄道を作るために来たんだ。お父さん達の活躍で、この国の人達は、もっと、もっと豊かに過ごせるようになるんだぞ。」
「すごいね。」

 その時だった。少し町ぽいエリアに入ったところで、交差点から急に車が出てきて、2台の車は衝突し、隆達の車とぶつかった車は横転した。周りの人が寄ってきて、なんか言っていたが、隆は、そのうちに気を失った。

<私は、隆の守護霊。昔は普通の人間の女性だったけど、優しい人と結婚して、子供も3人産んで、孫もできて、人生はたっぷり謳歌し、幸せだったわ。で、死んだら次はどうなるのと思っていたら、この子の守護霊になっていた。守護霊は<>で話すから、皆さんには、そういう形で聞こえてくると思うわ。
 ところで、とんでもないことになったけど、隆は生き残れそう。隆が死んでしまうと、私はお役御免で、もう、この世の中とは関係なくなっちゃう。だから、まだ死んじゃだめだよ。
 守護霊ができるのは、憑いている人の頭で呟くこと、他の守護霊と話すことと。そんなだから、横の人の守護霊がこんなこと考えていると頭の中で呟くと、本人は、相手がこんなこと考えているみたいと伝わるの。これまで知らなかった?
 また、憑いている人の周りが見えること、そしてその人が食べたり、飲んだりした味などを感じることができること。最後のは今の一番の楽しみなのに、なくなっちゃうんて、嫌だし。いずれにしても、まだ大丈夫そう。>

 2台に車に乗っていた怪我人は、少し時間がかかったが、近くの病院に運ばれた。

「事故だって。どれどれ、まず、白人の成人男性と、女の子。どこの国か分からないけど、父親と子供かな。父親は死亡っと。女の子は10歳ぐらいだけど、もってあと1時間かな。この2人は死亡診断書を書いておこう。あと、この国のドライバー、成人男性、成人女性と男の子。これは日本人かな。大人3人はもう死んでるね。男の子は、傷は負っているけど、これは生き残れそう。
 でも、これって面白いことできるな。前からやってみたかったことがあったんだよね。今朝、病気で運ばれて死んだ子とすり替えて、4人の死亡診断書を出すことにしよう。」

<うひょ〜。俺、ドクターの守護霊だけど、お前はどう思うかわからないけど、これって、やったじゃん。いつかって、楽しみにしていたんだけど、これでしばらくは楽しんで過ごせるぜ。なんたって、死亡直前の女の子と怪我した男の子の体、同時に手に入るために、信号を操作したりして事故を仕組んだんだから、まず1つ目の計画は成功だ。>
<このドクター、何を企んでるの? 見当もつかない。あなたも、道徳心とかなさそうね。それより、隆をちゃんと助けて。殺したら、ただじゃおかないからね。>
<そりゃー、何年にもわってやる実験だから、生きてもらわないと。>
<本当に、何考えているんだか。>

 この国では、医療現場の管理は厳格ではなく、医者が死亡診断書を偽装し、火葬した後に遺骨だけ渡すことぐらい簡単だった。さらに、この医者は、法律など介せず、日頃から、バレない範囲で色々な実験まがいなことをしていた。看護師からは、マッドドクターと呼ばれていた。

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