367章 サナエの疲れ
サナエは象をイメージさせる、大きな欠伸をする。
「ミサキさん、膝枕していただけないでしょうか」
おおいに疲れているらしく、体はゆりかごさながらに揺れた。
「ちょっとだけならいいですよ」
ミサキはベッドの上で、膝枕の体勢を作った。
「サナエさん、横になってください」
サナエは弱々しい声で、お礼の言葉を口にする。
「ありがとうございます」
ミサキの膝に、サナエの頭が乗せられる。髪の毛がたくさんの割には。重量はあまり感じられなかった。
サナエは右手を使って、ミサキの太腿をさすった。
「大食い少女とは思えないほど、細い足をしていますね」
「サナエさん、くすぐったいですよ」
サナエの掌は、ある場所に向かおうとしていた。
「サナエさん、○○○は触らないでくださいね。守っていただけない場合、すぐに出て行ってもらいます」
○○○を故意に触った場合、警察への通報も視野に入れる。同性であっても、セクハラであることに変わりはない。
「胸も絶対にNGです。こちらについても、触れないようにしてください」
「胸、○○○以外なら、自由に触ってもいいですか?」
「はい。自由に触ってもらっていいですよ」
サナエは太腿に、がっしりと手を当てた。
「ミサキさんの太腿は、骨、皮だけで作られているみたいです。肉はまったく感じません」
ミサキは体重計を使って、体脂肪を測定したことがある。体脂肪率は13パーセント前後と表示された。食べたい放題食べているのに、女性の体脂肪平均を完全に下回る。
体脂肪率の低さは、脂肪の吸収率の低さによるもの。妖精は体脂肪を吸収しないよう、体の構造を変化させた。
サナエは眠気にあらがえないのか、二つの瞼を閉じていた。
「サナエさん、おやすみなさい」
サナエの手はどういうわけか、○○○の方向に向かってくる。ミサキは手の角度を変えることによって、ことなきを得た。