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533 本気の鬼退治


え?はやく、にげて?おっきな?おに?
「ふあっ?おっきにゃ、おに、きちゃう?」
それって、大変!

『あらあらまあまあ?』
『サーヤ?聞こえたのか?』
「あ、あい、たびゅん?」

聞こえたことを、声に出したら、小鬼ちゃんたちが、バッとサーヤの方を向いて、一生懸命話しかけてきました。

『き、こえ、る?ぼく、たち、おしゃべり、とくいじゃな、い』
『でも、はやく、しない、と、おに、くる、つよい』

「え、えちょ?」
待って待って

〖サーヤ、それから小鬼たち、落ち着きましょう。ここは安全です。他の小鬼たちも入って来れなかったでしょう?安心して大丈夫ですよ〗
〖そうだぞ。それに、俺たちは強いからな。何が来ても大丈夫だ〗
『おう!聖域に入って来れたちびっこは俺らが守ってやるぞ!』

おお、神様たちさすがです。たしかに、みんな強いもんね。安心だよ!

「あい。こおにちゃ、だいじぶ」
だから、もう一回お願いします。

『ほ、ほん、と?』
『だい、じょぶ?』
まだ不安そうな子鬼ちゃん

「あい!みんにゃ、ちゅよい!」
なんたって神様だもんね!安心していいよ!

『えと、ぼくたち、おっきな、おに、から、にげてた』
『でも、おいつかれ、そうに、なって、そしたら』
『なかまだと、おもって、たのに』
『このこを、なぐって、ぼくたち、なげすてた』
ぽろぽろ

「ふえ?」
そんなのっ
『そんなのひどい~』
「ふえ?はく?」
聞こえたの?
『私たちも耳がいいからな。耳を澄ませたら、何とか聞こえるようになった』
「ぎんしゃま」
そっか~

『では、こういうことか?大きな鬼が襲って来て、仲間と逃げたが、追いつかれそうになり、君たちが囮にされたと。そして、この子の先ほどの傷は、仲間だと思っていた小鬼たちにやられたものなのだな?』
ギン様がお話を上手くまとめて説明してくれました。

『『は、はい』』こくこく

「ひぢょい~」うりゅりゅ
『ひどいね~。子鬼ちゃん、泣かないで~』
ぴゅいきゅい『『わるもの、やっつける!』』
『『うん!そうだよ』』
『『『なかま、まもる!』』』
みゃあ『そうにゃ!ようせいたべちゃうなら、ようせいさんたちも、ココロたちもあぶないのにゃ!』
『その通りなのだ!』
だから泣かないで!

『だ、だめ、あぶない』ばたばた
『それに、おっきい、おにも、きてる。にげる』ばたばた
小鬼さんたちが一生懸命止めようとしてるけど

「たちゃかう!」
魔法も練習してるし、近くにあぶない鬼さんいるなら、おっぱらわなきゃ!

『あらあらまあまあ、サーヤ、強くなって』
『サーヤ、そうだな。鬼は退治しなきゃな』
そうだよね。

『ぼくも~』
ぴゅいきゅい『『たたかう!』』
ちびっこたちもやる気です!

〖ふむ。分かりました。私が偵察してきましょう〗
〖そうだな。どうせ聖域には入って来れないんだ。数日位、対策と特訓に充てられるだろ。その間に俺が武器を作ってやる〗
『お、鍛冶神、出番だな』
〖おうよ!〗ニカッ
おお!神様もやる気!鬼に金棒だね!

〖では、早速行きましょう。イヒカ、案内を頼めますか?〗
『かしこまりました』
〖頼むな!〗
『気をつけろよ』
エル様とイヒカ様が様子を見に行きました。

そして
「おにちゃいじ!」
本物の鬼退治です!

『あらあらまあまあ、鬼退治と言えばやっぱりお豆かしら?うふふ』
『そうだな。この際、めちゃくちゃ固くてでかい豆作って、ちびっこ用にパチンコでも作るか?ふふふ』
「ふお~」
おばあちゃんとおいちゃんが、怒ってる!

『ん?パチンコ?何だか面白そうだな』
『協力するぜ』
『ああ、さっそく作り行くか』
親方たちもやる気です。

『あらぁ、せっかく魔法の練習してるんだからぁ、魔法も使った方がいいんじゃなぁい?』
『そうですわね。サーヤちゃんでしたら土の魔法も得意ですし、攻撃じゃなくても、足止めしたりなど援護の方でも活躍できますわ』

「ふお?」
サーヤ、色々できる?
『そうにゃ!みんな出来るにゃよ!フゥちゃんたちも魔法使うにゃ!』

『そ、そうですね。風は色々出来ますよね』
『おれは、戦いには向いてないような⋯』
あれ?フゥはやる気だけどクゥが落ち込んじゃった?

『大丈夫。魔法は使い方次第だと思うぞ。たとえば、空間魔法だって出し入れするものと場所次第で⋯』
おいちゃんがクゥにヒントを出すと
『あ、そうか。重いものとか使えば⋯ゲンさん、ありがとうございます!』

みんなやる気です!

『『あ、あの』』ぱたぱた

〖心配するな。鬼なんざ俺たちの敵じゃない。だが、この辺りには妖精や精霊も多く暮らす。お前たちの仲間⋯違うな、仲間だった鬼たちに食わせる訳にはいないんでな、おそらく、命を奪うことになるだろう。お前たちはそれでもいいか?〗
『そうだな。少なくとも今まで一緒にいたんだろ?思うところがあるよな』

『『⋯⋯』』

そうでした。ヴァル様と牙王様の言う通りです。小鬼ちゃんたちの気持ちを考えなきゃいけませんでした。

「ごめしゃい」
『ごめんね~』
ぴゅいきゅい『『だいじょぶ?』』
みんなで子鬼ちゃんのお顔見て聞きます。大事なことはお目目見てお話しなきゃダメです。

『だい、じょぶ。ぼくたち、ころされる、とこだった。あいつら、いたら、ここの、みんな、きけん』
『それより、おっきな、おに、たいじ、しないと、たいへん。ここの、みんな、やさしい、きけん、だめ』

小鬼さんたち、サーヤたちのこと心配してくれてます。自分たちが大変だったのに。

「やしゃちい」
『うん』
ぴゅいきゅい『『やさしいね』』
『小鬼さんたち、ここにいなよ~』
『そうだよ~一緒に暮らそう~』
『『『さんせ~い』』』
みゃあ『なかよくするにゃ』
『そうなのだ!』

『『え?いい、の?』』

「あい!」
当たり前だよ!

『『⋯⋯』』うるうる
あ、泣かないで

『あらぁ、それじゃ、また名前つけなきゃねぇ。ね?サーヤ?』
「ふ、ふぁああ?」
また?
『うふふ♪』
結葉様がまた爆弾落とした~っ

『まあまあ、それより先に準備しよう』
おいちゃん、そうだね。

『それから、子どもたち、今回はみんなは援護に回るんだ』
『そうだな。トドメは我らがさそう。命のやりとりはもう少し覚悟ができてからの方が良いだろう』
ギン様とアルコン様が、最後は大人たちの仕事だって。
「あい」
『『『『『はい!』』』』』
分かったよ!

〖よし。じゃあ、動き出すぞ!〗
『『『『『おー!』』』』』

そして、エル様たちの偵察の結果、やっぱり聖域の周りに小鬼族が、ここから少し離れた所に大きな鬼族がいたそうです。
どちらも妖精さんや精霊さんたちには危険なので、数日後


『サーヤ、アイツらの足元かき回せ!』
「あい!みきしゃーっ!」
鬼たちの足元の土をぐちゃぐゃにかき回します。
『よくやった!フゥ!』
『はい!ウインドカッター!』
フゥがバランスを崩した鬼たちの足や武器を持つ手を風で切りつけます。
『よし!』
そしておいちゃんは刀で、鬼の首を跳ねてしまいました。

『大丈夫か?』
「あい」
まだ、怖いし、血を見るのはもっと怖いけど、がんばるよ
『は、はい。慣れると思います。それに、サーヤたちが頑張ってるんだから、私が逃げる訳にはいきません』ぐっ
フゥもちょっと顔色悪いけど頑張ってくれてます。
『分かった。無理はするなよ。クゥたちは⋯あっ』

あ、クゥの方にも
『ハク、でっかい氷頼む!』
『いいよ~はいっ』ぼんっ
『サンキュ!これをしまって、えいや!』
ズドーン!
『『やった?』』
『よくやった二人とも!』ガウッ
わあっ!ハクとクゥはおっきな氷の塊を落として動きを止めました!そこをギン様が首を噛んでしとめてます。

『おばあちゃん、あっち!』
『あらあらまあまあ、忙しいわね』ぴゅんぴゅん
『モモ!あそこ!』
ぴゅい!『えいっ』ぴゅん
『スイ!こっち!』
きゅい!『えいやっ』
『『『めいちゅう!』』』
妖精トリオの眼をガイドにしておばあちゃんたちはパチンコ!もちろん玉は大豆です!
『やるな。では、焼いてしまうかな』ぼっ
腕やら足やらを撃ち抜かれて動きを止めた敵を、アルコン様がブレスで焼き払ってます。

みんな連携プレイで大活躍!

大きな鬼も
〖数だけはいますね〗ズバッ
〖だな。まあ、雑魚ばかりだからな〗ズバッ
『それ、ドワーフたちが打った刀だな。切れ味良さそうだな』ズバッ
〖そうだな。中々なもんだ。刃こぼれもしてないしな。牙王の爪もすごいじゃないか?牙は使わないのか?〗
『こんなヤツら、爪で十分だ』
やっぱり余裕です。

『よいしょお、植物さんたち、頑張ってぇ』
結葉様は木の根っこでたくさんの鬼を一気に拘束。そこを、アイナ様や精霊さんたちが

『『お母様、助かりますわ』』
『ストーンバレット』
『ライトアロー』
ずしゃっ
『魔法の名を言うほど余裕にゃね』

『⋯楽ちん。あ、倒したのこの穴に入れて』
『なんと言っても的が止まってますからね』
『『『落とすわよ~』』』どさどさ
『『華火』』
『やっておしまい』
『おう!燃やすぜ!』ボッ
みんながそれぞれ倒したのを、大地があけた穴に落として、華火が焼き尽くしてます。倒した鬼をそのままにすると、魔物を呼んだり、アンデッドになったり大変。

『⋯何より、こいつら、臭い』
『『『ほんと、嫌よね』』』
『『おかみさんたち作マスク、様々』』
『助かる』
『ほんとですね』
『匂いまで焼き付くしてやるぞ』
後始末も大事!

そんなこんなで、鬼退治は完了。サーヤたちの初めての魔物との戦いは誰も怪我することなく終わりました。
あ、フルーやココロたちは

『『小鬼ちゃん、大丈夫だよ』』
みゃあ『心配ないにゃ』
『絶対こっちには来ないのだ!』
きゅるる『来ても私たちがいる』
キュルルン『『『『『『『うん!』』』』』』』
『そうだのぉ。ここほど安全な場所はあるまいて』
『安心おし。さ、そんな泣きそうな顔はおよし』
『お菓子でも食べて待ちましょう』
『『『お茶入れよう』』』
『あ、青葉様、私たちが準備します』
『畑のぽぽちゃんたちも呼んで来ますね』

『『『あ、あり、がと』』』

お怪我が治った小鬼ちゃんも加わり、まったりとお茶をしながらお留守番しておりましたとさ。

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お読みいただきありがとうございます。いきなりの鬼退治。賛否両論別れそうで少々怖いですが、大丈夫だといいな…

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