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490 目を覚ましたら···

サーヤたちが死んだフリをしてやり過ごしていると、何とかおばあちゃんとジーニ様の怒りが収まってきました。

サーヤたちが恐る恐る目を開けると···

「うきゃーっ」
たたた大変!
『ドワーフさんたち~』
ぴゅいきゅい『『ちっかりーっ』』

ぷすぷす煙出て倒れてます!

『『ぎゃーっ煙ーっ』』
『『『だれかーっ』』』
みゃあ『火事にゃーっ』

『水なのだーっ』ばっしゃーっ

「ふえ?」
わあっ姫ちゃんやりすぎ!姫ちゃんが両手を振り上げて、勢いよく振り下ろしたらお水がっ!

きゅるる『『『わあっみずびしたしっ』』』
きゅるる『『『『お母さ~んっ』』』』
きゅるる『あらら。そう言えば姫は水の守石から生まれたんだった』

そう。姫ちゃんはお水の魔法が大得意。でも今回はやりすぎじゃないかな?せっかく作ってくれたお洋服とか布とか大丈夫?
でも、姫ちゃんがドワーフさんたちを水浸しにしたことで、ジーニ様がしっかり正気に戻ったみたいです。

〖あら?私としたことが嫌ねぇ。オホホホホ〗パチンっ

我に返ったジーニ様が、パチンっと指を鳴らすと、ドワーフさんたちの煙が消えて、姫ちゃんが出したお水も綺麗になくなりました。
ドワーフさんたちも『う~ん』って言ってるから、お怪我も大丈夫そうです。そして

『あらあらまあまあ。ご無事で何よりだわ。おほほほほほ』
〖ほんとね。オホホホホホ〗
おばあちゃんとジーニ様が笑って誤魔化してます。

『凛さん···』
〖お母様···〗
おいちゃんとシア様いつの間にかおばあちゃんたちの真後ろで仁王立ちしてます。それに気づいたおばあちゃんとジーニ様は

〖『ごめんなさい』〗
直ぐに土下座して謝ってます。
でも、おいちゃんもシア様も真っ先に逃げてたよね?
〖『なんのこと(だ)?』〗ふいっ
とぼけてますね。そこへ

『『『良かった』』』
『『『工房は無事だな』』』
更に脱兎のごとく逃げていたおかみさんたちと、親方たちも手に色々持って戻ってきました。
『『『なんのことだい?』』』ふい~
『『『俺たちは服持って来ただけだぞ』』』ふい~
親方たちもとぼけてますね

『まあ、サーヤたちもの?』
『死んだフリをしておったようだがのぉ?』
『『ほっほっ』』
じぃじたち、それは気のせいですよ。ふい~

『ま、まあ、とにかくよ』
『こいつら起こして着替えさせないとな』
『まったく、世話がやけるガキどもだな』
『ほんとだね。ほらほら、あんたたち』
『とっとと起きるんだよ』
『はやいとこその格好をどうにかしな!』
バサーっ

『『『『『『う~ん』』』』』』

そう言って持ってきた大きなバスタオルをドワーフさんたちにかぶせました。

「いいにゃ、たおるけっちょ」
サーヤもくるまりたいな。サーヤのタオルケットより大っきいタオルだよ。
『サーヤは~さっきお父さんにくるまったでしょ~?』
ぴゅいきゅい『『よるまでがまん』』
『今またタオルケットにくるまったら』
『夜ねんね出来なくなっちゃうよ?』
『『『サーヤ、がまんだよ!』』』
きゅるるん『『『サーヤがタオルケット』』』
きゅるるん『『『『きにいってくれてるのはうれしいけどね』』』』
「あ~い」
そうだね。お昼寝しすぎたら夜ねんね出来なくて大変だもんね。我慢します。みんなありがとう。

『お、さすがちびっこ同盟初期メンバーだな。よく分かってるな!偉いぞ』
みゃあ『にぃにたちえらいにゃ!』
『さすがなのだ!』
おいちゃんたちがハクたちを褒めてます。そしたら

『えへへ~♪』
って、みんなテレテレです。

そんなこんなで


ずずずっ
『はぁ···えらいめにあったな』ずっ
『ほんとだよ』ずずっ
『あ~茶がうめえ』ずず
親方たちにお洋服を借りたドワーフさんたち。
『やるよ。それ』
『新品だしな』
『着て帰れ』
『『『すまん。ありがとよ』』』
お洋服をもらったドワーフさんたち、お茶をすすってます。お茶、気に入ったんだね。お持ち帰りする?
『『『一式頼む』』』ずずずっ
お茶だけじゃなく、急須と湯呑みもですか。なかなかしっかりしてますね。

ちくちくちくちく
『悪いね。材料分けてもらっちゃって』ちくちく
『それにしても、いい布だね』ちくちく
『道具もいいね』ちくちく
奥さんたちは自分たちのお洋服をちくちく縫ってます。

『ちゃっかりしてんね。あんたら』
『布は絹さん親子の糸で織ったやつだしね』
『針や鋏もゲンに習ってこっちに来てから打ったやつだしね』
おかみさんたちが呆れながら答えると
『『『お土産にくれないかね』』』
『『『ほんとに図々しい嫁だね』』』
女性陣の方がたくましい

〖それで、あなた達、どの位こっちにいられるのかしら?〗

ジーニ様がドワーフさん達に聞くと

『あ~何しろ急に連れてこられたからな』
『里の連中に何も言わずに来ちまったからな』
『そんなにはいられないかな?』
『そうだね。長く空けるなら一度声をかけて来るようかね』
『そうだね。でもこの姿で帰ったら何言われるか分からないね』
『たしかにね』
しばらく居るなら一度里の人に伝えないといけないかなとドワーフさん達は言ってます。

『でもよ、せっかくここまで来たなら魔力の扱い方習わないとだよな?ジーニ様』
おいちゃんが名前だってその為に付けたんだろ?ってジーニ様に言うと

〖そうね。せめて光魔法のコツを多少掴んで帰ってもらいたいわね〗
〖そうですわね。でも肝心のリノと医神はまだあれですよ?〗
シア様が見つめる先をみんなが見ると...

『『お母さま聞いてらっしゃいますの!?』』
『しっかり聞くにゃ!』
〖まだまだお分り頂けないようですね。結葉〗フフ
『いや~んっ』

あの騒動の中、延々とお説教は続いてました。

〖まったく。仕方ないわね。ちょっと待ちなさい。はい。いいわよ、里のみんなに伝えなさい〗

『『『え?』』』
『『『何を?』』』
ジーニ様が唐突にドワーフさんたちに、伝えなさいって。どういうことかな?ドワーフさんたちだけじゃなくてみんなして、はてな?って頭倒れてます。

〖お母様、さすがに説明不足です〗
シア様からジーニ様に注意が入りました。そうだよね。

〖あら?そう?里のみんなの頭の中に話しかけられるように繋いだから説明して。そうね、魔法の練習のために二、三日留守にするって伝えたらいいかしら?本当はもう少しいて欲しいけどね〗
ジーニ様がシア様に言われて説明すると

『『『ああ』』』
『『『そういうことかい』』』

『なら、俺が。ジーニ様よろしくお願いします』
親方の息子さん天河さんが、今、事実上の里の長なんだって。だから自分が話すって。

〖いいわよ、どうぞ〗
ジーニ様が話すように促します。

『あ~みんな、聞こえるか?今、あるお方の力をお借りしてみんなに話しかけてるんだ。驚くのは分かるが聞いてくれ』
なんか、天河さんにはみんながワーワー言ってるのが聞こえるみたい。

『俺ら夫婦と従兄弟夫婦、大工んとこの夫婦は今、少々訳ありで親父のとこに来てる。数日で戻るからその間里を頼む。俺たちがいない間、念の為里の外には出ないようにしてくれ。じゃあ、頼んだぞ』ブチッ

どうやらお話は終わったみたいです。

『ジーニ様、ありがとうございました』
〖いいえ。こちらこそ、急に悪かったわね。さて、時間もないことだし、さっそく魔力の扱い方から練習しましょうか〗

『『『『『『え?』』』』』』

ジーニ様の言葉にドワーフさんたち目が点。

〖え?じゃないわよ。私を誰だと思ってるの?〗
ふふんってジーニ様が女王様の様にビシッとポーズをとってます。

「ふおお!ひしゃびしゃ、はくりょくびじんしゃん!」キラキラ
本領発揮です!
『サーヤ、久々って···』
それじゃあ最近はダメだったみたいに聞こえるぞ。
「う?」
なんですか?
『あらあらまあまあ、本当に迫力美人はこういう時に効果的よね』
「あい」
そうだよね~

『『『『『『あ』』』』』』
ドワーフさんたちも思い出した?

〖そうよ。私は魔神ジーニ。覚悟なさい?私があなた達に魔法の基礎を叩き込んであげる。ふふふ〗
ジーニ様、迫力満点な笑顔です。
『『『『『『え···』』』』』』
あまりの迫力にドワーフさんたち、腰が引けてます。

〖え?じゃないわよ。光魔法にしろ治癒魔法にしろ、基礎がなければ台無し。時間が無いわ。短期集中で行くわよ。いい?あなた達は名を貰っただけではないわ。あなた達は名前と共に新たな力と新たな責任を負ったの〗

ジーニ様、一気に真剣モードです。

『『『『『『······』』』』』』
ドワーフさんたちも、それに気づいて真剣な顔になりました。

〖力を持つものは責任がある。私も責任を持ってあなた達を鍛えてあげる。偉大なるドワーフの未来を担うあなた達にも覚悟を持ってもらうわ〗

改めて感じる美しいまでの迫力と、神々しい神気に
『『『『『『はい』』』』』』
ドワーフたちも覚悟を固めた。
その瞬間···

「ふわ~ああ。じーにしゃま、かっちょい~」キラキラキラキラ

サーヤの空気を読まないキラキラ攻撃

〖本当!?サーヤ、私かっこいい!?〗ばびゅんっ

『『『『『『え?』』』』』』
覚悟を決めたドワーフさん達をあっという間に置き去りにしてジーニ様はサーヤの前へ

「あい!じーにしゃま、かっちょいい!おんにゃにょ、かがみ!」ビシィッ
とってもカッコイイです!

〖いや~ん♪サーヤ、なんていい子なの~!〗むぎゅうっ

「ふぎゅっ」
しまった!久々のジーニ様のむぎゅう攻撃!

〖あ~ん!サーヤ~嬉しいわ~〗むぎゅうううっ

「くえっ」
ジーニ様のお胸は凶器!
「く、くりゅち···」
息が~

〖サーヤ~〗むぎゅううっ
「ひぎゅ···」
た、たしゅけて···

『孫を離しなさい!女の敵!』スパコーンっ
お、おばあちゃん

『このうらやまけしからん胸を私にも分けなさい!このこのこのこの』ぺしぺしぺしぺしっ
〖きゃあ!凛何するのーっ〗
おばあちゃん、なんか違う···
「くえ···」
空気~

『はっ!サーヤ!』べりっしゅぽんっ
「ぷへ···」
『大丈夫か?サーヤ?』
おいちゃん、おそいよ
「きゅう···」くてっ

『わーっサーヤーっ』ゆさゆさ

〖あ~いつもは結葉がサーヤを引っこ抜いてましたからね〗
『忘れてたな』
『久しぶりでしたしね』
サーヤがぐったりしたのを見て、シア様、アルコン様、ギン様が冷静に分析。

『『『私ら忘れられてるね』』』
『『『俺らの覚悟はいったい』』』
呆然と立ち尽くすドワーフさんたち。
『『『まあ、なんだな』』』ぽんっ
『『『諦めて待ちな』』』ぽんっ
親方たちはドワーフさんたちの肩を叩いた。

しおり