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465 ハーブティー?

アイナ様がニャーニャに精神的攻撃を受けつつも頑張っているその頃、聖域では

「じーにしゃま~」てててっ
〖は~い。何かしら?サーヤ♪〗にこにこ
サーヤから声をかけられてニコニコのジーニ様。そのままひょいっとサーヤを抱っこすると、その顔はニコニコからデレデレに⋯
その様子を見ていたシア様たちは

〖お母様ったら私の時、あんな蕩けきったお顔をしてたかしら?〗
『シア様、そんなことを仰られましたら、うちのお母様なんて⋯』しくしく
〖あ~そうね。結葉だものねぇ。アイナも相当気の毒だけど、あなたも苦労してそうよね、リノ〗よしよし
『分かって頂けますか!?シア様っ!本当に酷いんですのよ!?』ずずいっ
〖そ、そうでしょうね⋯〗

両手を組んで涙目で訴えてくるリアに、思わず、しまった!と思ったシア様。だが、

『もう小さい頃からですね?お母様ったらっ!』
〖そ、そう。それは大変だったわね⋯〗
もう遅い⋯

『え~?二人の言い方の方が酷いじゃないのぉ』
〖『ひどくない(です)わ』〗
『ええ~』
結葉様被害者の会、会員はどれだけいるのか⋯

「うにゅ?」
〖いいのよ。あっちは気にしなくって♪それで?どうしたの?〗
サーヤを抱っこしてニコニコのジーニ様に

「あにょにぇ?あいなしゃまちょ、にゃーにゃにゃん、いにゃいにょ」
どこいっちゃったのかと、尋ねるサーヤに
〖ああ、そうね。アイナたちにはね、ちょっとお使いを頼んだのよ〗にこ
やっぱりデレデレなジーニ様。

「おちゅかい?」こてん
〖いやん♪かわいい〗つんつん
「う?」ぷにゅ
思わずぷにぷにほっぺをつんつんしてしまうジーニ様。さらにサーヤがこてんっとするものだから指がほっぺたに、ぷにゅっと⋯
〖いや~ん♪やわらか~い♪⋯じゃなくって、そう、お使い。医神とアルコンもいないでしょ?〗
「う?」こてん
〖う?って、あら?まさか⋯?〗こてん
「うにゅ?え、えへ~?」にへら
〖サーヤ、気がついてなかったのね?〗じとー
「え、えへ~?しょんにゃこちょは~」くねくね
〖あるのね⋯〗はぁ⋯
かわいそうな二人⋯と、思っていたら

ぴゅい『あれ~?』
きゅい『おとうしゃん』
ぴゅいきゅい『『いなかったの?』』こてこてん

〖あ、あなたたちまで?アルコン、か、可哀想に…〗ほろり
なんと双子まで気づいてなかったなんて!!パパなのに!

「うにゅ?」
ぴゅいきゅい『『え~?』』

え~じゃないでしょ?
〖いい?気づいてなかったことは内緒よ?アルコンたちは今、みんなのためにお使いに行ってるの。だからね?帰ってきたら、『お疲れ様、寂しかった』って言ってあげてね、ね?〗
アルコン、さすがにかわいそすぎるわ⋯

「あ~い!」
ぴゅいきゅい『『え~?わかった~』』
〖いい子ね〗なでなで
「えへ~♪」
サーヤは大丈夫そうだけど、『え~』って双子は大丈夫かしら?アルコン、不憫⋯

『ジーニ様、エル様にはぼくたちが言ってあげるね~』
『『だから大丈夫』』
『『『まかせて~』』』
『なのだ!』
いつの間にかちびっ子たちが揃っていた
〖みんなっいい子ね。お願いね〗
なんていい子たちなの。良かったわね、医神。忘れられてたみたいだけど⋯

ぴゅい『おとうしゃん、いなかったんだって』パタパタ
きゅい『ね。いなかったんだってね』パタパタ
ぴゅいきゅい『『きぢゅかなかったね』』パタパタ
モモ、スイ、可哀想だからやめてあげて⋯しくしく


そんなことが繰り広げられているとは知る由もない、ドワーフの里にいる面々は

『つ、疲れたのにゃ~』ドサッ
『ニャーニャ、分かりますけどもダメですわよ。先にお客様にお座り頂かないと』
『にゃっ!そうでしたにゃ!ごめんですにゃ!どうぞですにゃ!』すちゃっ
瘴気を浄化し、アイナ様のお城に戻ってきたアイナ様たち。疲れてソファに飛び込んだニャーニャにアイナ様から注意が飛んでしまいました。

『申し訳ございませんですわ。どうぞお座りくださいませ。今お茶をお出し致しますわ』
お茶を入れに行こうとするアイナ様に
〖ああ、大丈夫ですよ。アイナも座って下さい。お茶でしたら、ほら〗
『そうだな。ゲンたちが持たせてくれた茶も朝飯もある。気遣いは無用だ』
エル様とアルコン様はアイナ様に声を掛け、ゲンさんたちが用意してくれた朝食をテーブルに並べ始めました。

『そうですか?ありがとうございますですわ。では、お言葉に甘えまして』
アイナ様もなんやかんや疲れているので、座れるのは正直ありがたい。

〖まずは、お茶でも⋯ん?手紙が入ってますね〗かさっ

え?手紙?みんな慌てて自分たちのカゴの中を覗くと

『ああ、こっちにも入ってるな』
『ニャーニャのにもにゃ』
『私の所にも入ってますわ。山桜桃ちゃんの字の様ですわね。え~、『お疲れ様です。まずはこちらのお茶からどうぞ。疲れの取れるハーブティーです。酸味がありますが美味しいですよ』』
『『ぜひカップに移してお飲みください。きっと驚かれると思います。』って書いてあるにゃ』
驚くお茶?とは、なんでしょう?

〖それは楽しみですね。では早速〗
とぽとぽと、一緒に用意されていた白いカップにお茶を注ぐと

〖おや、これは〗
『ほぉ、こんな色の茶があるんだな』
『きれいにゃ!香りもいいにゃ!』
『赤いお茶なのですね。すごいですわ。あら、お手紙の裏に続きが?『こちらはハイビスカスと言うお花と、ローズヒップというバラの実から作った新作のお茶です。まだこちらでは誰も飲んでいません。お好みでハチミツを足してお飲みください』まあ!私たちの為に初めてのお茶を用意してくださったのでしょうか?しかもお花とバラの実?うれしいですわ!』
沈んでた気分が上がりますわ!

『すごいにゃ!ジーニ様たちもまだ飲んでないにゃね?』ニコニコ
『そのようですわね。色も香りも素敵ですわ。嬉しいですわね』にこにこ
〖花のお茶とは、贅沢な気持ちにもなりますね。さっそくいただきましょうか〗こくっ
〖ほお、これはまた〗ふぅ~
『うっ!酸っぱいな!だが、これはクセになるな』
『ハチミツいっぱい入れると美味しいにゃ!』
『これは冷たくしても美味しいのではないでしょうか?』

確かに酸っぱいですが、慣れてくると甘さも感じます。なんだか、体に皆さんの暖かさが染み渡っていくような感じがしますわ。

〖はあ、確かに疲れが取れるような気がする不思議なお茶ですね〗こくっ
『いや、実際取れてるんじゃないか?』ずずっ
『ゲンさんと凛さんとサーヤちゃんが関わってるなら不思議じゃないにゃ』
『確かにそうですわね。サーヤちゃんが種を出したのでしょうし、畑には妖精が沢山いますしね。ポーションに近いものが出来てもおかしくはな⋯ぃ?』

あ、あら?まさか?
四人の視線がハーブティーに。それから自然にエル様に⋯

『エ、エル様、どうですにゃ?』ごくっ
『念願の『美味しくて香りまで良いポーション』なんてことが?』ごくっ
『あるのか?』ごくっ
ハーブティーを見つめたままのエル様を固唾を呑んで見守ると

〖いえ、傷を治すとかそこまでの効果はありません。ただ、疲労回復に加え、風邪などの軽い病なら治りますね。それから、魔力も回復するようです〗

『『『⋯⋯』』』
え?それって⋯

〖お茶と言ってるあたり本人たちに薬草を使ってる感覚はないでしょうからね。ポーションという感覚は全くないでしょうが、初級よりやや効果の高いポーションといっても過言ではないでしょうね〗ハハハ

『『『⋯えええええっ?』』』
そ、そそそ、それでは!?

『つ、ついに念願の美味しいポーションにゃ?飲む前に気絶するポーションの時代は終わったにゃ!?』はらはらはらはら
涙を流すニャーニャ
『そうですわ!ついに不味すぎて飲んだらかえって具合の悪くなるポーションから卒業ですわ!』はらはらはらはら
私の目からもお水がっ
『こんなポーションなら喜んでいくらでも飲むぞ!』ワハハハハ
大興奮の三人は泣いたり笑ったり、とにかく大騒ぎ。ただひとり⋯

〖ハハハ、そうですね。長年の苦しみはなんだったのでしょうか?その内、医神いらなくなるかもしれないですね。ハハハハ〗
医神エルンスト様だけは素直に喜べない複雑な心境⋯。乾いた笑いが痛々しい。その様子に気づいた三人は慌てて

『そ、そんなことないですにゃ!』
『そ、そうですわ!医神様なくして医術の発展はありませんわ』
『そ、そうだぞ!それにこれは怪我には聞かないんだろ?ならっ』
必死にエル様を慰める。が⋯

〖いいえ。お茶でこれなのですよ。しかも、ハーブティーはこれだけでは無いはずです。それに、それこそお茶ではなく真剣にポーションを作り出したら⋯〗ずーん

『『『⋯⋯』』』
言いながらどんどん沈んでいくエル様、かける言葉が見つからず

『ま、まあ、ゲンさんたちの非常識は今に始まったことじゃないにゃ』
『そ、そうですわ。さすがエル様が師匠と崇めるゲンさんということで』
『そ、そうだな、元気出せ』
しどろもどろになっていると

〖ふふ、ふふふふ〗
突然笑い出すエル様

『え?ど、どうしたにゃ?壊れたにゃ?』
『ニャーニャ!なんてことを』
『いや、本気で壊れたんじゃ?』
震えながらエル様から距離をとる三人

〖ふふ、ふはははは!さすが師匠!ますます尊敬致します!ああ、早くお会いして新しい時代の到来を共に祝いたいですよ!〗ハハハハハハハ

な、なんでしょう?
『こ、怖いにゃ。やっぱり壊れたにゃ』
『シッ!ダメですわよ!今は静かに』
『凛たちが言っていた。触らぬ神に⋯』
『だ、ダメですわよ。それから先を口になさっては』
『かくなる上は喋らなければいいにゃ。ご主人、ご飯食べるにゃ』
『そうだな。食べていれば下手なことは口にしないで済むな。さあ、朝飯を食べよう』
『そ、そうですわね』
アイナ様たち三人は、高笑いを繰り返すエル様をよそにご飯を食べ始める。が、

『せ、せっかくのご飯の味が分からないにゃ』
『と、とにかく今は少しずつでも口に入れておきましょう』
『そ、そうだな。巻き込まれないようにな』
味の感じないご飯を口に運ぶ三人、そして

〖ふふ、ふはははは〗

せっかく里の外は正常に戻したのに⋯エル様、早く正気に戻って

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