320章 デュエット
DRAZから提案をされる。
「ミサキさん、デュエットしましょう」
「30分ならいけますけど、それ以上は厳しいです」
腹ペコ少女は、8時間睡眠推奨。夜11時になる前に、睡眠をとらなくてはならない。お風呂の時間、髪を乾かす時間を逆算すると、30分で限界となる。
「わかりました。すぐにデュエットしましょう」
エマエマ、キイに続いて、DRAZともデュエットをする。三組目ということもあって、新鮮さはまったく感じなかった。
DRAZはCDを再生する。聴いているだけで、幸せになれそうな音色だった。
「ミサキさん、デュエットしましょう」
「音楽を聞かせてもらってもいいですか? メロディーをおぼえないと、歌うことはできません」
「そうですね。音楽をしっかりと記憶してください」
少ない脳みそを使って、音楽を頭に叩き込ませていく。泥を塗れない、恥をかかせられないという思いは、大いなるプレッシャーとなった。
「ミサキさん、お願いします」
ミサキにできることは、音程を合わせて歌うだけ。そのことを、きっちりと心がけようと思った。