318章 腹の虫
30人の女性、エマエマは帰宅し、二人きりとなった。
「いろいろな意味で、すごい誕生日会でしたね」
「はい。特殊な誕生日会でした」
エマエマの曲を聴いた女性たちは、大いに興奮することとなかった。理性を抑えきれずに、エマエマに接近しようとしていた。
エマエマは冷静に対処していた。ファンの暴走は慣れっこなのを感じさせた。
エマエマはその後、自分の家に戻っていく。車は家の前に置かれており、すぐに帰宅できるようになっていた。いろいろなことを想定して、準備を整えていることがはっきりと伝わってきた。
30人の女の子は、とっても残念そうにする。エマエマと顔を合わせられる機会は、非常にレアである。
「いろいろな人に祝ってもらえるのは、とっても羨ましいですね」
「そうかもしれません・・・・・・」
DARZは小さく瞬きをする。
「今日は宿泊してもいいですか?」
「はい。いいですよ」
ミサキのおなかはギュルルとなった。
「おなかすいた・・・・・・」
先ほど食べたばかりなのに、腹の虫が鳴ってしまうとは。常人とはかけ離れた、おなかの構造をしている。
「ミサキさん、しっかりと食べましょう」
心配りをしているというより、ワクワクしているように感じられた。腹ペコ少女の食事を、心から楽しんでいる。
「はい。しっかりと食べます」
肉うどん20人前、かき揚げ10個、海老天10個、イカ天15個、野菜天10個、とり天15個、天かすを注文。がっつりと食べることで、お腹を大いに満たしたい。
「ミサキさん、パワフルですね」
「これくらいは食べないと・・・・・・」
「通常の人の、数日分の食事ですね」
「ははは、そうかもしれません・・・・・・」
ミサキの一食=通常の人の数日分。このような人間ばかりになってしまったら、食料はうまく回らなくなりそうだ。食料危機によって、全人類は破滅する。
うどんは放置すると、すぐに伸びていく。コシを保つために、手っ取り早く食べすすめていく。
「見た目はとっても細いのに、次々と入っていきますね。体のどこに、食べ物をためているんですか?」
「わからないです」
体の中は見られないので、どうなっているのかはわからない。DARZの質問に答えることはできない。
海老天、イカ天を食べる。サクッとした食感は、食べているものをとっても幸せにした。
「とってもおいしい」
同じような食べ方をすると、楽しみは半減する。いろいろな取り合わせを楽しみながら、肉うどんを胃袋の中に押し込んでいく。バリエーションを楽しむことは、食事の楽しさにつながる。