315章 思わぬ来客
誕生日会は終了し、7人はそれぞれの場所に帰っていった。
両親が離婚してからは、誕生日を祝ってもらったことはなかった。誕生日であったとしても、わずかなコメ、水だけを食べる生活を余儀なくされていた。とんでもない生活を送っていたからか、あたりまえのことに大いに感謝する。
「ミサキさん、誕生日会はいいですね」
「私もそのように思います」
「私は仕事で多忙なので、誕生日を祝ってもらったことはありません」
DRAZは秒単位の生活を送っている。誕生日をゆっくりと祝っている余裕はない。
「参加していた人たちとは、どういうご関係ですか?」
「従業員もしくは元従業員です」
実家で過ごすことが多いため、交友関係は広くなかった。従業員、元従業員以外に、友達と呼べる人はいなかった。
「そうなんですね・・・・・・」
ミサキの家のチャイムが鳴らされる。先ほどまでやってきた誰かが、忘れ物をしたのかなと思った。
ゆっくりと扉を開けると、たくさんの女性たちが立っていた。人数にすると、30人くらいはいるのではなかろうか。それなりの数だったのて、正確に数えられる気はしなかった。
「ミサキちゃん、ハッピーバースデー」
「ミサキちゃん、おめでとうございます」
「ミサキちゃんのために、いろいろなものを準備しました」
「ミサキちゃん、フライドチキンを買ってきたよ」
「私はケーキを買ってきた」
「私はステーキを買ってきたよ」
「私は焼きそばだよ」
プレゼントは食べ物ばかりで、飾り物などはなかった。腹ペコ少女のプレゼント=食べ物というイメージが定着している。
誕生日プレゼントを持ってきた女の子たちを、外で待たせるのは忍びない。全員を家の中に案
内することにした。