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293章 超大物歌手登場

 玄関のチャイムを鳴らされた。ミサキは家の主として、対応することにした。
 
扉を開けると、思いがけない人物が立っていた。旅館のときは会えなかった、ラクマキイである。身長180センチ、スラっと伸びた細長い足、チャームな栗色の瞳、スレンダーな胸が特徴で
ある。胸は非常に小さく、ぺったんこの愛称で親しまれている。

「ミサキさん、とっても会いたかったです」

 ラクマキイは一直線に、ミサキの胸に飛び込んできた。彼女からは香水の甘い香りを感じた。

「外では目立つので、家の中に入っていただけませんか」

 ラクキマイは超のつく有名人。第三者に見られたら、大量の人が殺到しかねない。

「わかりました・・・・・・」

 ラクマキイは体を離したのち、家の中に入ってきた。

「おじゃまします」

 ミサキの家の中に、超有名歌手が一人増えようとしている。あまりの豪華な顔ぶれに、夢を見ているかのようだった。

 ラクマキイの視線は、ある人物に向けられることとなった。

「エマエマさん、どうしてここにいるんですか。スケジュールは秒刻みのはずですけど・・・・・・」

 エマエマ、ラクマキイのツーショット。ファンからすれば、たまらない一枚を取れそうだ。

「タワインの大雨によって、仕事は取りやめになったんです。体の休養を兼ねて、4~5日くらいはここに滞在する予定です」

「エマエマさんの休みは、とっても珍しいですね」

「キイさんこそどうしたんですか。3年先まで仕事は埋まっていると聞きましたけど・・・・・・」

「ホテルにいけなかったので、こちらを訪ねることにしました。噂の超大食いガールに一度でいいから、顔合わせしたいと強く願っていました」

「大食いガールの大食いは芸術です」

「私も早く見たいですね」

 90分前に、親子丼、かつ丼、牛丼、天丼10人前を食べたばかり。腹ペコ少女とはいっても、空腹になるのに時間はかかりそうだ。

 エマエマは大きな欠伸をする。

「エマエマさんは、おつかれみたいですね」

「秒刻みの仕事をこなしたこともあって、休息は取れていません。せっかくの長期お休みをもら
えたので、こちらでゆっくりしようと思います」

 休息中であっても、歌詞を書かなくてはならない。休みであって、休みでないような気がする。

「エマエマさん、ゆっくりとしましょう」

「はい。ベッドで休ませていただきます」

 エマエマはベッドに向かう。足取りは非常に重く、疲れているのははっきりと分かった。

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