287章 勤務スタート
勤務がスタートする。
焼きそば店の客は0。誰もいない店内は、妙な静けさを漂わせていた。普段からすれば、信じられないほどに人数が少ない。
「シノブちゃん、お客さんはいないの?」
「ミサキさんがいないときは、こんなこともありますよ。ゆったり、まったりと営業しています」
「そっか・・・・・・」
「ミサキさんに会うために、大勢の客がつめかけています。メインをつとめる人物がいないと、店に来る気になれないのかもしれません」
「・・・・・・」
シノブは重い空気を打破するために、話の方向性を変えた。
「エマエマさんに、焼きそばを作ってあげましたか?」
「シノブちゃん、どうしてそれを・・・・・・」
「エマエマさんから直々にリクエストをもらいました。買い出しに行くときに、焼きそばの具材も購入しておきました」
「そうだったの・・・・・・」
「ミサキさんの焼きそばを・・・・・・」
雑談をしていると、お客様がやってきた。シノブは水をコップに入れたあと、お客様のところに運んだ。
シノブは2分ほどで戻ってきた。
「ミサキさん、焼きそば3人前をお願いします」
「わかりました」
「焼きそば、海鮮、キャベツなどは準備してあります。調理をお願いします」
シノブは仕事前に、たくさんの下準備をしている。そんな女性にこたえるためにも、おいしい焼きそばを作りたかった。