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次の獲物はロナウド様?

ロナウド様はマイケルお兄様の先輩で、今年22歳。青騎士団に所属しているとの事でしたわ。カーキステック家といえば武術に長けた侯爵家でしたわ。ロナウド様はその若さで子爵を継いでいらっしゃるのね?有望ですわ。

「お兄様、慰問用にお兄様のお好きなお菓子を作ってきましたの。わたくしだけでは沢山作れなかったので、料理長にも手伝ってもらいましたわ。他の籠は詰所に置いてきましたから、皆さんでどうぞ召し上がってくださいね。」


私達の周囲を囲む騎士や、騎士見習い達が歓声を上げました。わたくしは騎士達のはしゃぎ様に楽しくなって、コロコロと笑ってしまいました。途端にざわざわと騎士達が落ち着かなくなったので、マイケルお兄様は慌てて私を見学者の詰所で待つ様に言いつけました。

するとロナウド様がサッと柵を飛び越えると、わたくしの手を取りました。今は身体が空いてるからそこまでお連れしようと申し出て下さいました。お兄様は何か言いたげでしたが、ロナウド様の方が先輩だった事もあり、わたくしの事を頼みますと頭を下げましたわ。


お兄様、わたくしにとっては願ってもない状況ですの。心配は無用ですわ。そう口に出しては言えませんでしたが、わたくしはにっこりと微笑むと、ロナウド様と踵を返して歩き出しましたわ。

「アンナマリー様、こちらは初めてですか?」

ロナウド様の肘に置いたわたくしの手を握る、逞しい節ばった手が素敵ですわ。手に見惚れていたわたくしは反応が遅れました。


「…えぇ。家族が厳しくて中々自由に行動させてくれませんでしたの。それよりロナウド様の手、わたくしとても好きですわ。戦うために日々鍛錬されていらっしゃるのがよく分かりますもの。」

そう言って、わたくしはロナウド様の手の甲を、人差し指でつうぅっとなぞりました。ロナウド様はビクッとして立ち止まってしまわれました。わたくしは首を傾げてロナウド様を見上げて真っ直ぐに見つめました。必殺見詰めて攻撃です。


よくお兄様達がおっしゃってました。わたくしの大きな青い目で真っ直ぐ見詰められると、魔法にかかったみたいに何でも言う事を聞きたくなるって。

「…ロナウド様、騎士科に庭園はございませんの?わたくし花がとても好きなんですの。」

わたくしはもちろん騎士科の庭園の事はリサーチ済みです。薔薇の東屋は今まさに見頃で、丁度人目も隠すってことまで。わたくしにぬかりはありませんことよ?

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