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野望への第一歩

ダンディなお父様と、麗しいお母様。いつ見ても目の保養ですわ。

「何だい?マリー、今朝は随分ご機嫌じゃないか。」

私の前に座っていた上のお兄様がニヤリと笑うと私を揶揄いました。

「ええ、アンソニーお兄様。わたくし気分がとってもいいんですの。だって、もう直ぐ社交界デビューですわ。やっと大人への仲間入りですもの。私の年上のお友達が皆仰いますの。とっても素敵な蕩けるようなキスをしていただけるって。わたくしそれがとても楽しみですの。」

あちこちでむせ込む音がして、何ならお父様は心なしか青ざめてるわ。ちょっと刺激が強かったかしら?でもここで手を緩めるわたくしではないことよ。

「お姉様方曰く、わたくしは少し子供っぽいらしくて、もっと大人っぽいお部屋や、ドレスが必要だってお話してくれたんですの。確かにわたくし今日鏡を見た時に、もうすっかり大人の身体になってると思ったんですの。衣装部屋にあるドレスはほとんど胸がキツくて入らないものばかりですわ。ね?お父様、お母様、わたくしに新しいドレスを作ってくださいませ。」

隣に座っている、下のマイケルお兄様はさっきから動きが止まってしまってるわ。あら?耳が赤いわ。案外純情なのかしら?

お父様は咳払いをひとつすると、お母様と目を合わせた後にわたくしにこうおっしゃいました。

「可愛いマリー、お前もいつまでも幼い娘ではないのだね。お前の年上のお友達の言う事は置いといて、部屋とドレスの事だが、誕生日のプレゼントのひとつとして準備はしていたんだ。ちょっと早いがお前のものになるんだ、早速今日にでも仕立て屋にドレスは届けさせよう。部屋も数日以内に模様替えが終わる様手配しよう。」

私はサッと立ち上がるとお父様とお母様の席まで近づいて、お礼のキスをしましたわ。淑女あるまじき行為かもしれませんけど、両親の前では幼い娘でいる必要がありますもの。計画通り、早めに大人の部屋と、大人のドレスを手に入れたわたくしは次の計画に着手することにしましたわ。

わたくしはホッとした表情で紅茶をたしなむアンソニーお兄様に向かって、首をこてりと傾けていいましたの。

「アンソニーお兄様、少しの時間で構いませんの。わたくしを湖まで乗馬に連れて行ってくれませんか?ね?マイケルお兄様お願いしますわ?」

週末に時々兄弟で湖まで乗馬に行くのを知ってたわたくしは、理由があって連れて行ってもらいたかったんですの。お兄様方は、顔を見合わせてため息をつきました。ええ、わたくしが言い出したら決して諦めないことをお二人は十分にご存知ですわ。そして滅多に頼み事をしないと言う事も、ね?ですから、わたくしが言い出したらそれは絶対に叶えなくてはならない事になるんですの。うふふふ。










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