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280章 握手会終了

 シノブ、マイ、ユタカ、ホノカ、シラセ、フユコは自宅に戻っていった。家の中にいるのは、ミサキ、エマエマの二人だけである。

 ミサキは握手会を終えた女性を労った。

「エマエマさん、おつかれさまです」

「みなさんが興奮していたので、とっても疲れましたね」

 シノブ、マイ、ユタカ、ホノカ、シラセ、フユコの6人は、ハイテンションモードに突入。冷静でいることが多いだけに、握手会に興奮しているのは伝わってきた。

 エマエマは苦笑いをする。

「私を前にすると、理性を失う人が多いです。一部のファンは熱狂的すぎて、怖いと思うこともあります」

 焼きそば店で働いているとき、熱狂的なファンと会うこともある。熱狂的なファンに対して、ストーカーの一歩手前であると感じた。ちょっとした過ちによって、とんでもないことになりかねない。

 エマエマは反省点を口にする。

「無制限にするのではなく、時間制限をつければよかったですね」

 握手会は3時間にも及んだ。6人で3時間なので、一人換算で30分も握手していたことになる。通常の握手会は5秒くらいなので、異様な長さであることがわかる。シノブ、マイ、ユタカ、ホ
ノカ、シラセ、フユコは一度きりのチャンスを逃そうとしなかった。

「最初から応援していただけあって、フユコさんは強く握ろうとしていましたね。握力はそこまでではなかったので、痛さはなかったですけど・・・・・・」

 握手をしているときは特にテンションが高く、アホ毛がピンと伸びていた。最初から応援していた女性との握手に、自制心を完全に失っていた。

 エマエマは大きな欠伸をする。

「ミサキさん、膝枕をしてください」

「わか・・・・・・」

 承諾の返事をする前に、おなかはギュルルとなった。3時間前に食べた、おにぎり20個、サンドウィッチ20個のエネルギーはどこにいってしまったのか。

「おなかすいた・・・・・・」

「ミサキさん、しっかりと食べましょう」 

 エマエマは自販機を確認する。

「自販機を使えるみたいです。好きなだけ食べることができますよ」

「冷蔵庫の食べ物から食べることにします。みんなの思いやりの気持ちを、大切にしようと思います」

 シノブ、マイ、ユタカ、ホノカ、シラセ、フユコの優しさを大切にしたい。食料を買い出しに行ってくれた6人に対する、せめてもの恩返しである。

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