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274章 自販機故障

 ミサキは3時間後に目を覚ます。シノブ、エマエマは眠り続けていた。

 目覚ましが鳴っていたにもかかわらず、全く聞こえていなかった。宿屋で過ごしたことによる、疲労はとんでもなく大きかったようだ。

 エマエマは多忙のため、休みをほとんどもらえていなかった。睡眠をきっちりとることで、今後のエネルギーを充電してもらえるといいな。

 おなかは無事であってほしかったけど、そういう展開にはならなかった。腹ペコ少女のおなか
は、食べ物を強烈に欲している。

 自販機でご飯を注文しようとすると、メンテナンス中と表示されている。予期していなかった事態に、大いに頭を抱える。

 ミサキは藁にも縋る思いで、エマエマに助けを求める。

「エマエマさん、エマエマさん・・・・・・」

 エマエマの体を大きくゆすると、彼女はゆっくりと瞼を開いた。

「ミサキさん、どうかしたんですか」

「おなかすいたので、助けていただけないでしょうか」

 エマエマは瞼をこすった。

「ミサキさん、自販機はどうしたんですか?」

「メンテナンス中で、食料調達ができないんです」

 メンテナンスは2時間後まで続く。通常の人には問題ないけど、腹ペコ少女にとっては生死を分ける事態といえる。

 今後は メンテナンスに備えて、食糧を備蓄する必要がある。保存食を中心に、3日分以上の食料を確保しておきたい。今回の件で、自販機だけに頼る生活は危険だとわかった。

 エマエマは緊急を察したのか、体をすぐさま起こした。

「ミサキさん、すぐに食料を購入してきます」

 エマエマは超有名人である。食料を購入しようとすれば、目立つのは避けられない。

「エマエマさんだと、目立ちすぎます。シノブさんを起こしてきてくれませんか?」

「わかりました。シノブさんを起こしてきます」

 エマエマはダッシュで、シノブのところに向かった。脚力を鍛えているからか、短距離走選手並みのスピードだった。

 玄関のチャイムが鳴らされる。対応してくれる人はいないので、自身で対応することにした。

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