271章 コラボのお誘い
エマエマの熱唱は1時間に及んだ。それにもかかわらず、前回よりも短く感じられた。あまりに楽しすぎて、時間の流れを忘れてしまっている。
「私の歌は終了です」
ミサキ、シノブは盛大な拍手を送る。二人しかいないのに、一〇〇人分の握手をしているかのようだった。一人で五〇人分の握手は、やかましいといったらやかましいような気がする。
エマエマの二つの黒い瞳は、ミサキのほうに向けられる。
「ミサキさん、一緒に歌いたいです」
「コラボするんですか?」
エマエマは満面の笑みを見せる。
「はい、そうです」
エマエマとコラボすると知って、心拍数は急上昇することとなった。
「ミサキちゃん、ファイト」
シノブの声援を受けても、不安を払拭できなかった。ミサキの心の中は、巨大な闇に覆われていた。
「歌のうまい、下手は気にしていません。ミサキさんとコラボすることを、何よりも重視しています」
「エマエマさん・・・・・・」
「本当に苦しいとき、つらいときは手をつなぎましょう。手をつなぐことによって、不安を取り除くことができますよ」
エマエマの掌はとても温かく、たくさんのパワーをもらえる。ミサキにとって、非常に心強い仲間になりうる。
コラボに前向きな気持ちになったあと、ゆっくりと立ち上がる。前回とは異なり、心はとってもふんわりとしていた。