269章 エマエマがやってきた
ミサキはテレビをつける。シノブを起こさないように、音量は小さめにした。
テレビ画面には、エマエマが移されていた。一緒に会話をしたからか、親近感を覚えることになった。
エマエマはパフォーマンスを終えると、瞳はおおいに充実していた。自分のパフォーマンスに対して、大いに満足しているようだ。
「エマエマさん、おつかれさまでした」
「ありがとうございます」
「ミサキさんと会うために、ホテルに泊まるそうですね」
「はい、そうです」
テレビの会話からすると、録画日はホテルにやってくる前だ。生放送だと思っていただけに、不意を突かれた感じがする。
「ミサキさんと、どんなことをしたいですか?」
「ハグ、サイン交換などをしたいですね。許可を得られたら、添い寝などもやってみたいです」
「添い寝とは大胆ですね」
「ミサキさんの体温を、少しでも吸収したいです」
テレビ画面を見ていると、ドアをノックされる音がした。
ミサキはドアを開けると、信じられない人物が立っていた。
「エマエマさん・・・・・・」
エマエマは顔を見られたくないのか、すぐさま家の中に入ってきた。
「ミサキさん、こんにちは」
「お仕事はどうしたんですか?」
「タワインは1000年に1度の大雨で、仕事は中止になりました。次のお仕事まで、お休みをいただくことができました。7連休を利用して、リフレッシュしたいです」
人間は自然現象に勝てない。いつの時代になっても、変わることはないようだ。
「ミサキさんの家で、ゆっくりとしたいです。家に泊めていただけないでしょうか?」
ミサキの瞳から、涙がこぼれていた。
「ミサキさん、悲しいことがあったんですか?」
「そうではないです。エマエマさんと過ごせるのは、とっても嬉しいです」
「私も同じです。ミサキさんにたっぷりと甘えます」
ミサキ、エマエマはハグをする。生体温はとってもふんわりとしていた。