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262章 態度の悪いラーメン店

 シノブ、ミサキはラーメン店にやってきた。他の4人は、外で待機している。

「シノブちゃん、ごめんね」

「ミサキちゃん、気にしなくてもいいよ」

「しっかりと食べたのに、おなかすいちゃった」

「ミサキちゃんは、異次元の胃袋だね」

 ミサキはお腹を見つめる。移動による体力消耗で、昨日よりも細くなっていた。しっかりと食べて、体重を戻したい。

 ミサキ、シノブのところに、水が置かれた。乱雑な扱いだったため、水はこぼれることとなっ
た。

「何を注文する?」

 水をこぼしたくせに、拭くこともなければ、謝罪の一つもない。おばさんに社会常識はないようだ。

「ラーメンを5人前、から揚げ1個、餃子1人前をお願いします」

 ラーメンを15人前、から揚げ10個、餃子を5人前頼もうと思っていたけど、接客態度を見て急遽変更する。ラーメン店を出てから、別の店で食べたほうがいい。

「あいよ。ラーメン5杯、から揚げ1個、餃子1人前」

 40くらいの女性店員の視線は、シノブのほうに向けられた。目つきが非常にきつく、客を威嚇
しているかのようだった。圧迫面接ならぬ、圧迫接客だった。

「そちらは?」

「ミサキちゃんと食べようと思っているので、私は結構です」

 おばさんは顔をしかめる。社会のルールもわからないのか、といわんばかりの顔をしていた。
水をこぼしたのに、謝罪一つないお前だけにはいわれたくない言葉だ。

「メインメニューを、一品以上は頼んでね」

「チャーハンをお願いします」

 40代の店員は舌打ちをする。貧乏人、もっと頼みやがれといっているかのようだった。

「あいよ」

 40くらいの女性は、頭を小さく下げる。年齢は倍近いのに、接客レベルは旅館をはるかに下回っていた。人生経験=接客レベルに比例しないようだ。

「ミサキちゃん・・・・・・・」

「うん・・・・・・」

 ラーメン店を出たあとに、コンビニでおにぎりを食べようと思っている。腹ペコ少女が安泰に移動するためには、たっぷりの食事をとらなくてはならない。

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