261章 一人だけ腹ペコ
シラセはおなかの肉をつまむ。
「やばい、かなり太った」
マイもおなかの肉をつまむ。
「私もかなり太ったみたい」
シラセ、マイはお互いのおなかを触りあっていた。
「シラセ、冗談抜きで豚になっているよ」
「マイもブクブクのフグみたい」
「家に帰ったら、二人でダイエットしよう」
「うん。体重を減らさないと、本気でやばい」
「10キロランニングを、2人でやろう」
「うん。一人なら無理でも、二人ならやれる」
いいたいことをいいあう二人だけど、協力関係はしっかりとしている。心の底から信頼できるほどの、深い絆を持っている。
シラセ、マイの体型変化は、ミサキにもはっきりと感じ取れる。昨日は余裕だった服、ズボンは完全にきつきつだった。人間は一日で、こんなに太れるのかなと思った。体重計に乗っていないものの、4~5キロは太っていると推測される。
シノブ、ユタカ、フユコも明らかに太っていた。おいしいものを食べ過ぎたことで、脂肪をたくさん身に纏っている。
ミサキはあんなに食べたのに、体重は減っているように感じられた。腹ペコ少女の体質は、通常の人間とはかけ離れている。
ミサキのおなかはギュルルとなった。
「おなかすいた・・・・・・」
ミサキは何かを食べようと思っていると、フユコの尖った声が聞こえた。
「フユコは何も食べたくないのだ。いや、食べられないのだ」
フユコは30分前に、ソフトクリーム、アイスクリームを3つずつ食べていた。デザートがおなかにたまってしまっている。
マイも続いた。
「私も無理。これ以上食べたら、満福で動けなくなる」
こちらは25分前に、柏餅6個、アイスクリーム3個を食べていた。デザートをものすごい勢いで、おなかの中にかきこんでいた。
シラセも同意見だった。
「私もいらない。今日は食べ物を見たくない」
こちらは15分前に、バニラアイスを7個食べた。もう食べられないと思ったのか、無理をしておなかの中に送り込んでいた。
ユタカはお腹を押さえる。
「おなかいっぱい、今日は何も食べたくない」
こちらは20分前に、柏餅4つ、ソフトクリーム3つを完食。あまりにおいしかったのか、理性を完全に失っていた。
「ミサキさん、私と行きましょう」
「シノブちゃん、無理をしなくてもいいよ」
「ミサキさんを野放しにはできません」
シノブは4人に指示を出す。
「マイさん、ユタカさん、シラセさん、フユコさんは電車で帰ってください。ミサキさんは責任をもって、家まで送り届けます」
マイ、ユタカ、シラセ、フユコは拒絶の反応を示す。
「ミサキちゃんは放っておけない」
「そうだよ。そんなことできないよ」
「ミサキちゃん、送り届ける」
「恩人を捨てることはできないのだ」
5人が話をしている間にも、空腹は進行していく。シノブにラーメン店に連れていくようにお願いした。