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323章 適性のない仕事がもたらす不幸

 アカネは空のところに駆け付ける。

「ソラさん、体調はどうですか?」

「しっかりと休んだので、回復したと思います」

 ソラの世界の睡眠時間は、10日で1時間程度。人間と比較した場合、必要な睡眠時間は圧倒的に短い。

「部下はどんな感じでしたか?」

「ソラさんについていくために、無理をしているみたいです」

 ソラは肩をすくめた。

「そうですか・・・・・・」

「一人一人の能力は異なります。それぞれの能力に応じた、仕事をしてもらえばいいと思いますよ」

「それは分かっていますけど・・・・・・」

 ソラは就任して間もないため、部下の能力を把握できていない。どのように仕事を割り振るのか、理解するのは難しい。

「よほど突き抜けた能力を持っていなければ、他者の力を必要とします。誰かと協力できなければ、最終的には困ってしまいます」

 アカネは魔法を使用できるけど、すべてのことをできるわけではない。第三者の力を必要とするときは、必ずやってくる。

「チームワークを学ぶ機会はありませんでした。そのこともあって、どのようにしていいのかわからないです」

「少しずつ、少しずつ学んでいけばいいと思います。すぐにできるようにはなりません」

 ソラは小さく息をする。

「単独行動を好むタイプなので、チームワークは苦手です。テオス様にも伝えましたけど、最後まで聞いてもらうことはできませんでした」

 適性のない職種につかされたことで、ソラ自身、部下のどちらも不幸になっている。

「王様をやめることはできないんですか?」

「無理です。王様に指名されたら、死ぬまで全うする必要があります」

 ソラの世界の住民の、平均年齢はおおよそ10000年。9982年程度にわたって、不向きなことを続けなければならない。

「ソラさん・・・・・・」

「部下たちと、話し合いをしてみます。うまくいかなかったときは、お話に加わっていただけな
いでしょうか」

「わかりました。協力させていただきます」

 ソラはほっとしたのか、布団に横になった。アカネはその姿を、じっくりと見守っていた。

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