244章 マイとシラセ
エマエマは夕食を取り終えて、自分の部屋に戻っていた。彼女曰く、ランニングマシーンで汗を流すようだ。
トップ歌手でなければ、外を散歩するといった方法も取れる。有名になりすぎたことで、行動範囲に制限を設けられることとなった。
シラセはおなかを抑えていた。
「うう。あまりにおいしいから、たくさん食べすぎちゃったよ」
おにぎり3個、ステーキ7枚、フォアグラ、キャビア、サラダ、スープを完食。一般女性にとっては、完全なオーバーカロリーである。
マイもおなかの肉の感触を確かめる。おにぎり4個、ステーキ8枚、フォアグラ、キャビア、サラダ、スープを口にした。こちらも完全なるカロリーオーバーだ。
「私も食べ過ぎだよ。一週間くらいは、ダイエットすることになりそう」
シラセは、マイのおなかを触った。
「マイ、お豚さんになったみたいだね」
マイは仕返しとばかりに、シラセのおなかを触る。豚といわれて、黙っていることはできなかった。
「シラセもお豚さんの階段を順調にのぼっているね」
「マイの方が贅肉ぶよぶよだよ」
「シラセは豚ではなく、巨豚だよ」
シノブはヒートアップ寸前の二人を諫めた。
「マイさん、シラセさん、そこまでにしましょうね」
浴衣姿の女性は、二人のやり取りにくすっと笑っていた。
「二人はとっても仲がいいんですね」
マイ、シラセは同時にこたえる。
「そんなことはありません」
「息がぴったりじゃないですか」
「それは・・・・・・」
「他の従業員にお豚さんなんていったら、関係は崩壊してしまいます。デリケートな問題なので、口にできません」
オーバーカロリーを気にする二人に、さらなる誘惑が襲うことになった。
「食後のデザートもありますよ。いかがなさいますか?」
マイ、シラセはデザートの4文字を聞いて、耳をふさいでいた。誘惑に打ち勝ちたい、誘惑に負けたくないという強い意志を感じる。
フユコのアホ毛センサーは、まっすぐに伸びた。あれだけの量を食べても、食欲に満ちている。
「フユコは食べたいです」
ユタカも続いた。
「私も食べます」
シノブも続いた。
「お願いします」
ミサキも続く。
「私も食べます」
マイ、シラセは結論を出さなかった。4人に提供されるデザートを見て、食べる、食べないのかを決めるつもりのようだ。