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311章 宿屋

 アカネは宿屋に足を運んだ。

「アカネおねえちゃん、久しぶりだね」

 久しぶりに会った女性は、少しだけ身長が伸びていた。

「サクラちゃん、こんにちは・・・・・・」

「サクラちゃん、おかあさんはどこにいるの?」

「食料の買い出しに行っているよ」

 サクラと話をしていると、思いがけない人物と顔を合わせる。

「カスミン・・・・・・」

「アカネさん、お久しぶりです。ここで会えるなんて、ラッキー&ラッキーですね」

 地震の直後にもかかわらず、とってもポジティブだった。前向きな性格はとってもうらやましいと思った。

「カスミンはどうして、ここにいるの?」

「私の子供、サクラちゃんは親しくしています。そのこともあって、稀に宿屋にやってくることもあるんです」

 親のつながりではなく、子供のつながりなのか。保護者になると、いろいろなことがあるのかなと思った。

「私の子供ほどではないけど、サクラちゃんもかわいいですね」

 サクラは気に入らなかったのか、頬に空気を入れていた。

「カスミちゃんの子供よりも、サクラはずっとずっとかわいいよ」

 サクラの母親が、宿屋に戻ってきた。大量に食料を購入したらしく、10個以上の袋を抱えていた。おかあさん=力持ちのイメージを持った。

「アカネさん、こんにちは・・・・・・」

「サクラさんのおかあさん、こんにちは」

「アカネさん、どのようなご用件ですか?」

「サクラちゃんの様子を確認しに来ました」

「アカネさんのおかげで、とっても元気に過ごしていますよ」

 サクラは最初に会ったときは植物状態。奇跡の力を与えられていなければ、元気に過ごすことはできなかった。

「アカネさん、地震のときはありがとうございました。魔法の力のおかげで、すぐに復旧できました」

 アカネはどんよりとする。

「地震に備えておけば、被害を0にできたかもしれません。準備不足によって、たくさんの迷惑をかけてしまいました」

「アカネさんがいなければ、街はつぶれていました。自分を責めないでください」

「そうですよ。アカネさんのおかげで、元の生活を送ることができています。もっと胸を張ってください」

 カスミの励ましによって、元気を取り戻すこととなった。

「アカネさん、ご飯を食べていきませんか?」

「サクラちゃんのおかあさん、ありがとうございます」

「カスミさんも一緒に食べましょう」

「ありがとうございます」

「調理をしてくるので、しばらくお待ちください」

 サクラのおかあさんは、調理室に向かう。アカネ、カスミ、サクラはその様子を、後ろから見つめていた。

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