201章 旧知の仲
チョコパン30個、ステーキ20枚、春巻き40個、ヨーグルト30個を完食。十分に食べたこともあって、元気を取り戻すことができた。
「ミサキちゃん、おなかはいたくない?」
ミサキは自分のおなかに、手をゆっくりと当てる。
「うん、問題ないよ」
無意識のうちに、体重計のほうに体が向いた。体重が37キロまで減ったことで、自意識過剰になっている。
体重計を意識するときは、太っているのを気にすることがほとんど。やせていることを気にかけるのはレアケースといえる。
「マイちゃん、シラセちゃん、布団で横になるね」
しっかりと休むことで、体調不良から解放されるといいな。病気で苦しむ時間は、一秒でも短くすることを求められる。
布団で横になったあと、マイ、シラセの二人が近づいてきた。
「ミサキちゃん、睡眠をとろう」
一人で寝るのは怖いけど、三人なら安心して寝られる。第三者の存在は、とっても心強かった。
「マイとは旧知の中で、いろいろなところに行った。普段は元気、ポジティブでいいけど、羽目を外すこともある。高熱などで苦しんでいるときは、調子を崩す要因になりうる」
旧知の仲とあって、手を知り尽くしている。ミサキにとって、非常に頼りになる存在だ。
「ハイテンションになっても、看病はきっちりとするよ」
シラセはため息をつく。
「ハイテンションを見せられると、睡眠をとれなくなる。しっかりと眠れない状態だと、病気は良くならないよ」
「本当に疲れているときは、きっちりと寝られるはずだよ。ハイテンションは無関係じゃないかな」
シラセの表情がしぼんだ。
「私の看病にやってきたとき、テンションのせいで眠れなくなった。睡眠不足になったことで、完治まで長引いたんだよ」
シラセは髪の毛を触った。
「マイはしっかり者に見えるけど、ちょくちょく抜けているんだよね」
焼きそば店で仕事をするときは、ミスを一切していなかった。しっかりとしている女性というイメージを持っていた。
「シラセ、二人きりにさせてよ・・・・・・」
「絶対にダメ。ミサキちゃんを守る義務がある」
マイは思い通りにならないことに対して、唇をへの字に曲げていた。
「シラセの意地悪!」
「マイのわからずや」
「シラセの頑固、意地っ張り」
「マイのおっちょこちょい。ハイテンション女」
「小さいころに・・・・・・・」
「マイ、秘密をばらすのは最低だよ」
二人のやり取りを見ていると、無意識のうちに笑ってしまった。
「ミサキちゃん、どうしたの?」
「二人の話を聞いていたら、おかしくなっちゃって」
マイ、シラセは恥ずかしさからか、顔を赤らめてしまった。
「マイちゃん、シラセちゃんはとっても親しいだね」
シラセは軽く首をかしげる。
「それについてはよくわからない。顔を合わせるたびに、衝突ばかりを起こしている」
「そんな感じはするね。心の中のストレスをぶつけあっている」
「5歳くらいのときから、ちっとも変わってないよね」
「うん。あの頃からちっとも変わらない」
15年近くも親しくできるのは、互いを信頼している証拠。ミサキはとってもうらやましいと思えた。