200章 ハイテンションマイ
マイはいつにもなく、ハイテンションだった。ポジティブが羽目を外すと、こうなるのかなと思ってしまった。
「マイちゃん、超ハイテンションだね」
マイは興奮しているのか、鼓膜をふさぎたくなるほどの声を出す。20くらいの女性は、酔っぱらったオヤジと重なった。
「そうだよ。ミサキちゃんと二人きりだから、超ハイテンションモード突入だよ」
アオイ、ツカサよりも、ずっとずっとハイテンションである。励ましてほしいときはいいけど、看病をお願いしたいときはどうかと思う。ハイテンションに付き合うと、症状を悪化させてしまいそうだ。
「ミサキちゃん、困ったことがあったら何でもいってね」
ハイテンションな女性と過ごしたことで、眠気は完全に吹っ飛ぶ。目をつむったとしても、睡眠を取れる状態ではなくなった。
ミサキは体を起こしたあと、食料自販機に向かう。体重を増やすために、たくさんのご飯を食べておきたい。
「ミサキちゃん、何を食べるの?」
「チョコパン30個、ステーキ20枚、春巻き40個、ヨーグルト30個だよ」
「ミサキちゃん、すさまじい食欲だね」
「遊園地撮影、焼きそば店の仕事で5㌔も減ってしまった。体重を早く戻さないと、命を失うことになりかねない」
「過度に食べると、おなかを壊すことになるよ」
「その部分はきっちりと調整するつもり」
チョコパンを注文する前に、玄関のベルが鳴らされることとなった。
「ミサキちゃん、私が対応するね」
テンションは高くなっても、きっちりとした性格は健在。アオイ、ツカサとは異なり、思いやりの精神を持っている。
「マイちゃん、ありがとう」
マイに対応を任せ、食べ物を口にしよう。体重を増やすことで、いろいろな人の役に立てるようになりたい。
「シラセ、仕事はどうしたの?」
「シノブちゃんに話をして、こちらにやってきた。マイ一人には任せられないよ」
「シラセ、一人でいけるよ」
「ミサキちゃんのことが心配だから、2~3時間くらいはここにいる。問題ないと判断したら、ここからいなくなるつもり」
シラセは家の中に入ってきた。マイは人が増えたことに、大いに落胆していた。