124章 昼食
ミサキのおなかは空腹のサインを出す。
「シノブちゃん、マイちゃん、昼食にするね」
昼食として、米15合、ステーキ10枚を食べる予定。たっぷりと食べることで、おなかに余裕をもたせたい。
プライパンで肉を一枚ずつ焼いていると、かなりの時間を要する。家の中にある自販機で、ステーキを注文する。
ステーキはレベル1~レベル5まで選べる。レベルが高くなるほど、値段は上がっていく。お金に余裕のないときはレベル1、お金に余裕のあるときはレベル5を選択する。
「ミサキちゃんは何を食べるの?」
シノブからの質問に、ミサキは答える。
「米15合、ステーキ10枚だよ」
特殊な体をしているので、栄養バランスにこだわる必要は皆無。野菜抜きのメニューであったとしても、問題になったりはしない。
「ミサキちゃん、ステーキを焼くのは大変じゃない?」
「ステーキは自動で焼きあがるよ」
「そんなことができるんですか?」
シノブ、マイを自販機のあるところに案内しようと思った。
「シノブちゃん。マイちゃん、私についてきて」
ミサキが誘導すると、二人は後ろからついてきた。
「家の中に自販機があって、ご飯はこれで注文しているの。メニューはたくさんあるから、飽き
ることもないよ」
和食、中華、洋食、デザートをバランスよく取り揃えてある。バラエティーがあることによって、飽きずに食べ続けることができる。
自販機は味を調節する機能がある。薄めの食事を食べたいときは薄口、濃い食事を食べたいときは濃口を選択する。気分によって変えられるのも、大きなメリットである。
「ミサキちゃん、メニューを見てみたい」
「シノブちゃん、好きにみていいよ」
シノブはタッチパネルを操作して、自販機のメニューを確認していた。
「ミサキちゃんの家の中には、とっておきの機械があるんだね」
「うん。値段は高めだけど、おいしい料理を食べられる」
シノブの手は、焼きそばのところでストップした。店を営業している女性として、焼きそばは気になるようだ。
「黒墨焼きそば、海鮮焼きそば、ふわふわ卵焼きそば、カレー焼きそば、フルーツ焼きそばか。
うちで取り入れられるものは、取り入れてみるのも面白そうだね」
フルーツ焼きそばは、一度だけ食べたことがある。ソース焼きそばの上に、缶詰に入っているフルーツをのせられていた。
フルーツ焼きそばは、食べられない味ではなかったものの、二度目を食べたいとは思わなかっ
た。焼きそば、フルーツは別々に食べるものであって、合わせるのはNGだ。
カレー味の焼きそばは、男性に好まれそうな味だった。予算に問題なければ、取り入れてもみるのも面白い。黒墨焼きそば、海鮮焼きそば、ふわふわ玉子焼きそばなども、合格レベルに達している。
マイはフルーツ焼きそばに興味を示した。
「フルーツ焼きそばを食べてみたい」
ミサキはストップをかける。
「焼きそば、フルーツはアンマッチ。別々に食べたほうがいいよ」
「一度でいいから食べてみたい」
マイにストップをかけるのは難しそうだ。どんな味なのかをわかってもらうために、フルーツ焼きそばを食べてもらうことにした。
「お店でお世話になっているから、30ペソまでなら好きに食べていいよ」
ミサキは2人に30ペソを渡す。
「ミサキちゃん、ありがとう」
「ミサキちゃん、気前がいいね」
シノブ、マイは臨時収入を得たことに、歯にかんだ笑顔を見せる。臨時収入をもらえたことは、とっても嬉しいようだ。