111章 マイがどんより
マイが出社する。髪を染めなおしたのか、黒色になっていた。
「シノブちゃん、ミサキちゃん、おはよう」
シノブが先に挨拶する。
「マイちゃん、おはよう」
ミサキも続いた。
「マイさん、おはよう」
シノブはCMデビューを、マイに伝える。
「マイちゃん、ミサキちゃんにCMオファーが届いたみたいだよ」
マイはカバンを地面に落とす。
「ミサキちゃん、CMに出演するの?」
「今のところは予定で、確定したわけではないよ」
あくまで予定であって、決定したというわけではない。ミサキの意思によっては、実現しない可能性も残されている。
相手側の都合、気まぐれによって、依頼を取り消す場合も考えられる。オファーを遂行するま
では、何が起きても不思議ではない。
マイはどういうわけか、しんみりとした表情になった。彼女の瞳、表情からは、祝福ムードは感じられなかった。
「ミサキちゃんは、私たちの前からいなくなってしまいそうだね」
CMの仕事がメインになったら、焼きそば店に関わることはなくなると思われる。シノブ、マイとは別々の道を歩んでいく。