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『20XX年 7月1日。

この日、私はついに隼くんのいじめ問題と向き合わなければいけなくなった。


隼くんは、きっととても上品で清廉な家庭で育ったのだろう。

普段の言葉遣いや所作、教養の深さだけではなく、私が連れて行く様々な場所での反応を見るだけでそれは分かるものだった。


休日にも美術館や博物館に行くという彼が、私が連れて行くカラオケやゲームセンター、ス〇バ、ファミレスなどで楽しんでくれるかはとても不安だったが、彼はいちいちその新鮮さを噛み締めてくれている。


隼くんはただの近所の小学生だ。

それなのに、隼くんの家族や友達が教えていない世界を私が教えているということに、私は不思議な優越感を抱くようになっている。


隼くんの初心で純粋な反応を見るたびに、もっと世の中の楽しいことを教えてあげたくなる。


まるで自分の弟が出来たかのように、私は彼を溺愛した。



だからこそ今日彼から聞いた話は、私の胸を引き裂くくらい辛くて悲惨なものだった。


それと同時に、私は隼くんを救いたい…。

直接いじめを無くすことはできなくても、彼が負った傷や痛みを全力で癒やしてあげたい…


そんな気持ちもより一層、強くなっていったの。』

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