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母の愛は偉大


 俺は今悩んでいるリキのことを母さんに相談した。
 腐女子である、北神 ほのかの臭そうなハートをどの様に落とすべきか。
 ここは、先駆者である親父の六弦に聞いた方が早そうだが、あいつはすぐに金をせびるので、無視した。
 母さんは一連の流れを聞いて、「わかるわかる」と頷いていた。

「なるほどなるほど……。つまり、そのリキくんという子は、女の子を見る目があるのねぇ~ ズバリ! 男にとって腐女子は、アゲマンよ!」
 予想を上回る回答が出てきたので、イラッとした。
「母さん。真面目に相談しているんじゃないか……もうちょっと、具体的な答えが欲しいんだよ」
 俺はため息をついて、頭を抱える。
「でも、本当のことよ? 六さんも私と出会ってイケメンになれたわよ~ 仕事もルックスも♪」
 いや。あんたの旦那は無職だろ。
「それで……母さんは、親父のどういうところに惹かれたんだ? 顔か、性格か?」
 正直、親の馴れ初めとか聞きたくないが、ダチのためだ。
「いいえ。顔でも性格でもないわ。ズバリ! 初めてを捧げたのが六さんで、身体の相性がバツグンに良かったのよ~ 思い出しただけでも、びしょ濡れになりそう~!」
 なんて頬を赤らめるアラフォーのおばさん。
 しんどいわ。

「そういうんじゃなくて……なんか腐女子の人って、こう……ルックスに厳しいイメージがあるんだけど。二次元並みに美青年とか……リキってハゲのマッチョなんだよ。それでも脈があると思うか?」
 母さんはそれを聞いて、腹を抱えて笑い出す。
「ハハハ! ちゃんちゃら可笑しいわ! そんな二次元の世界にいるような男子が現実世界にいれば、腐女子たちに逆レ●プされるわよ。ないない。もし、そういう幻想を抱いている若い腐女子がいるのなら、恋愛なんて無理な話よ」
 しれっと、自分の願望を暴露しやがったよ。この母親。
「じゃあ母さんは、親父のことをどんな風に見ているんだ? 好みのタイプに当てはまるのか?」
 すると腕を組んで、自慢げに語り出す。
「六さんはドンピシャね。母さんの好みは年上の男性。子供ぽくない人よ」
 意外だった。すごくシンプルな答えだったから。
「年上か……大人の男って感じが好きなのか。確かに親父は母さんより、何歳か年上だったもんな」
 なるほどな、と顎に手をやる。
 確かに母さんの言う好みに、当てはまる。
 二次元に対する情熱と、現実世界の恋愛はまた別物なのか。

「でも、年上っていうタイプは、あくまでも受けの時よ♪」
 人差し指を立てて、優しく微笑む。
「え?」
 なんかこの前もこういう展開があったような……。
「攻めのタイプは、絶対年下に限るわ! そうねぇ、具体的に表現するなら、14歳から16歳ぐらいの男の子がいいわ!」
 その変態発言に、思わず身震いを起す。
「ど、どういうことだ? 何故、そんなに年齢を限定するんだ?」
「決まっているじゃない~ 反抗期のショタをいじめ抜いて、性奴隷にするのよ♪」
 このクソ母親、なんてことを息子に言いやがるんだ!?
「か、母さん? ウソだろ?」
「いいえ~ 普通のことよ。腐女子ならショタは絶対に外せないわ」
 俺はその性癖を聞いて、1つの不安が脳裏を過る。
 ミハイルのことだ。
 あいつは、今15才だ。
 ちょうど母さん的に、食べごろなのでは?
 しばらく彼を自宅に連れてくるのはやめておこう。

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