67章 アヤメが来店
焼きそば店で働いていると、アイドルの引退発表をした、クドウアヤメが来店。
アイドルがやってきても、周囲は騒がしくなることはなかった。店内は貸し切りであるため、他の来客は0だった。
貸し切り料金は3時間で、30000ペソである。店の売り上げを考えると、かなりの金額といえる。
アヤメは白のワンピース、水色のスカートを着用。オードソックスなスタイルといえる。
トップアイドルが来ているからか、ワンピース、スカートが輝いている。着る人が変われば、見え方も変化するようだ。
アヤメは店内の椅子ではなく、自分の持ってきた椅子に腰かけた。
「シノブさん、ミサキさん、こんにちは」
シノブは店長として、アヤメに応対していた。
「アヤメさん、いらっしゃいませ」
「ミサキさんに、塩焼きそばを30人前」
シノブはていねいに頭を下げる。
「かしこまりました」
貸し切りの時間帯は、シノブ、ミサキだけである。マイ、アオイ、ツカサ、ホノカ、ナナは勤務していない。
「シノブちゃん、30人前を作れるの」
「時間に余裕があるので、問題ないと思うよ」
アヤメの貸し切りは、9~12時だ。3時間もあるので、焼きそばを作ることは可能だ。
シノブは厨房に下がる前に、ミサキに笑顔を向ける。
「ミサキさん、お客様を笑顔にしてくださいね」
トップアイドルを相手にするからか、喉はカラカラになっていた。