64章 一人になりたい
ミサキが頭を抱えていると、シノブに声をかけられた。
「ミサキさん・・・・・・」
声をかけてきた女性に対して、
「一人になりたい・・・・・・」
といった。心を和らげるためには、一人になるのが一番だと思っている。
「ミ・・・・・・」
ミサキは同じことを、もう一度繰り返す。
「一人にして・・・・・・」
誰とも話したくない、誰とも顔を合わせたくない、孤独の中を生きたい、ミサキの心の中を3つの感情が蠢いていた。
シノブは一人になりたいといった女性に対して、
「気分を取り戻したら、温泉に来てくださいね」
といった。嫌味な部分というのは、一ミリも感じることはなかった。
ミサキは力なく頷いた。シノブはそれを確認すると、浴室に戻っていく。