63章 体のことを聞かれる
7人で温泉に入った。
「とっても気持ちいいね」
温泉は入っているだけで、リラックスしているように感じる。人間をリラックスさせる、魔力が含まれているのかもしれない。
ナナは心地いいのか、顔が大いにとろけていた。
「体が疲れているときは、天国に感じられるよ」
ホノカは瞼を軽く閉じていた。電車移動、ソフトクリーム購入などで、疲労を感じている。
アオイ、ツカサは大いにはしゃいでいる。2人に関しては、疲れを微塵も感じなかった。
シノブは羽目を外しそうな二人に、厳しい口調でくぎを刺した。
「アオイさん、ツカサさん、第三者の胸、お尻などを触らないようにしてくださいね。被害届が提出された場合については、懲戒免職処分にします」
アオイ、ツカサはスキンシップが好きで、いろいろなところに手を伸ばしてくる。ミサキはこれまでに、背中、肩などを何度も触られた。軽いスキンシップのつもりなのだろうけど、されて
いるほうとしては、気分はよくなかった。
胸、お尻、太腿などは未接触。シノブが手を出さないよう、アオイ、ツカサに繰り返し伝えているのが、功を奏していると思われる。
マイは観察するように、ミサキの体を見つめていた。恥ずかしさのあまり、顔が真っ赤になってしまった。
「マイさん、見つめないで・・・・・・」
「ミサキさんはどんなに食べても、見た目が変わらないような気がする」
見た目を維持しているのは、摂取カロリー=消費エネルギーが一致しているから。摂取カロリー>消費エネルギーになれば、体重を増やすことができる。
ミサキは現在の体型を、大いに気に入っている。必要がない限りは、体型を変えるつもりはない。
「ミサキさん、食べるのはつらくない?」
「最初はきつかったけど、最近はどうってことないよ」
3日目くらいになると、20000キロカロリーの接種を、プラスにとらえる機会も増えた。食べられるだけ食べて、生涯を全うしたい。
「ミサキさんはどのようなにして、そんなに食べられる体になったの?」
妖精にされたといっても、誰も信用しないと思われる。どのように説明していいのか、わからなかった。
「仮に食べられたとしても、体重が増えないのはおかしいよ。私が同じことをしたら、3日で15キロくらいは太ると思う」
マイは自分の体に視線を送った。
「1カ月間で、1キロも増えた」
ホノカが自分の体を見つめる。
「1カ月間で、600グラムも増えたよ。ダイエットしないと、ブタになっちゃうよ」
身長は頭打ちなので、体重増加は肥満につながる。
ナナはおなかのあたりを見つめていた。
「私は700グラムかな。間食を控えて、体重を落とさないと・・・・・・」
ミサキよりも少ない食事で、体重はきっちりと増える。人間の体というのは、太りやすい体質をしているようだ。
これくらいで収まるのかなと思っていると、ホノカが口を開いた。
「ミサキちゃんの体に、とっても興味がある。些細なことであってもいいから、体について知りたいよ」
ナナも続いた。
「そうだね。どんな構造になっているのかな」
ホノカ、ナナはミサキの背中に視線を送った。
「ホノカさん、ナナさん、じろじろとみないで・・・・・・」
ミサキはいたたまれなくなって、温泉から抜け出した。